10月 – 家族でPCR検査を受ける / ヨーロッパ中でコロナ感染率が再び急上昇…

新しいローカルCOVID警戒レベルの導入

「9月-その2」でも書いたように、UKのあちこちの自治体でコロナの感染率が上がってきたと共にそれぞれの自治体で少しづつ違う規制が掛かり始めたり、ルールが次から次に変わったりして私たち一般市民は混乱し始めていた。

そんな中、全国で規制のレベルを統一するため、新たに「Local COVID Alert Levels (

ローカルCOVID警戒レベル)」なるものが10月14日から取り入れられることになった。これは3つに分けられた警戒レベル(Tier1 – Tier3)で、

Tier 1 = Medium Level

Tier 2 = High Level

Tier 3 = Very High Level

というふうに分けられている。

(なぜかLow levelとうのはない..。)

各レベルによって規制が異なり、レベルが上がるごとに規制が増えていくというシステムだ。 

一番規制がきびしいTier 3 (Very High Level)では、公園などの屋外でなければ他の世帯の人と会うことも禁止、パブやバーは営業停止、食事を提供するカフェやレストランも10pm-5amまで営業禁止になる。

自分の住む地方自治体がどのレベルになっているかは政府やそれぞれの地方自治体のホームページで確認できることになっているとのことだったので、早速調べてみた。

私の住むレスター市は「High Level」、職場のある街は「Medium Level」になっていた。

「Very Highじゃなくてよかった….」と少しほっとした。

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ローカルCOVIDアラート・システムの内容*

* https://voda.org.uk/north-tyneside-local-covid-alert-level-high-14-10-20/ より

 

2波がついにやってきた…

先月やっと私の住むレスター市のローカルロックダウンが緩和され、仕事にもフルタイムで戻って普通の生活に慣れてきたと思いきや、10月になった途端UKのあちこちで感染率が警戒レベルMAXになる地域がでてきた。

北部のリバプール、ランカシャー、マンチェスターにハイレベルの規制がかかり、そして北アイルランドでは4週間のロックダウン、ウェールズでは2週間の期間限定ロックダウンに入ることになった。

大都市のマンチェスターでは、ロックダウンになると経済への打撃が大きいため、市長がロックダウンに反対し政府と数日間対立していたが、最終的には政府がマンチェスター市に6千万ポンドの支援金を供給することでロックダウン決行となった。

リバプールの病院ではコロナウィルスで入院している患者数が、第1波のピーク時を上回っているらしく、ストレスで疲れ果てた医療スタッフが「早くロックダウンにして欲しい」とニュースで訴えていた。

北部だけでなく、中部のノッティンガム市も10月末にはハイレベルになってしまった。

10月中旬のニュースでは1日の感染者数が、27,900人にもなってきて、この数字は感染者数が低かったときにくらべて、1日当たり1万人も多いと…!

 

9月中旬から大学の新学期も始まり、いつもなら最初の2週間は「Fresher’s week (新入生の週)」と言って全国の大学でお祭りのような催し物が一斉に開催される。

キャンパスに有名なDJが来て夜遅くまでダンスパーティーが繰り広げられたりと新入生にとってはエキサイティングな時だ。

今年はもちろん、コロナ対策でこのようなイベントは中止となったのだが、学生たちの多くは自分たちの寮で集まってパーティーを開いていたようだ。

「Rue of 6 -(6人以上で集まるのは禁止)」という規則も、同じ寮の人たちの間では守るのは難しいのかな…、と思っていたら、あちこちの地域で50人~100人も同じ建屋に集まってパーティーを開いていたところもあったらしく警察も呼ばれたとか。

私の同僚の息子さんも、今年の9月大学に入学したのだが例にもれず寮で30人ほど集まってパーティーをしていら警察が来て全員罰金が科せられたらしい。

いつもだと、この「Fresher’s week」のあと10月になると、夜更かしや不摂生な生活を2週間続けた新入生たちの多くが「Fresher’s cold」と言われる風邪をひたり、体調を崩してしまうのだが、今年はCOVID-19の陽性反応が出た学生がたくさんいた。

あちこちの学生寮が建物一斉に自主隔離になっているところもたくさん出てきて、親元を初めて出てきたばかりなのに、寮の部屋に篭ることになって心細くなってしまった学生もいたようだ。TVでは寮に閉じこもっている学生の部屋の窓に「HELP!」や「Please send us beer! – ビールを差し入れして~!」といったようなメッセージが張られている画像が流れていた。

大学に在学中の娘の友人のシェアハウスでも、コロナウィルスの陽性反応が出た人が2回もでて、「またどこにも行けなくなっちゃた!!」と連絡がきた。

このような事が原因かはわからないけれど、10月にハイレベルになっている地域は大学のある都市が多いことに気がついた。

会社のキッチンの壁に掛かっているTVでこのようなニュースを見ながら同僚たちと、

「せっかく親元を離れて自由な気分になったばかりの若者にソーシャルディスタンスは難しいんじゃない?やっぱり大学の再開は遅らせたほうがよかったんじゃ…?」

「これじゃまた全国ロックダウンになるのも時間の問題だね…。」

などとため息をつきながら話していた。

 

ため息をついてるのもつかの間、UKの隣国ではもっと深刻な状況になっていた。

10月も中旬を過ぎると、スペインではヨーロッパ内で初めて感染者数が100万人を越し、26日から夜間外出近禁止令が施行された。

28日にはドイツが4週間のロックダウンに、フランスが11月末までロックダウンに入ると発表された。

フランスのパリではこのロックダウン前に都会を脱出する人たちで、道路が大渋滞してる模様がTVに。「まるで戦場から脱出してるシーンみたい…。」と翌朝また会社で同僚たちとビックリしてニュースに見入っていた。

もう1つの隣国ベルギーでは27カ国あるEUの中でいちばん感染率が高く、前週より77%も多くの人たちがコロナの症状で入院したらしい。

ヨーロッパの中で一番最初に第1波が来て深刻な状況に陥ったイタリアも、再び26日からロックダウになり、レストランやカフェは夕方6時以降営業禁止、結婚式やお葬式で人が集まることも禁止になってしまった。

 

もっと身近なところだと、私の職場でも一緒に住んでいる家族や配偶者の人に陽性反応がでて、自己隔離に入った同僚が3人ほどでてきた。

みな症状が軽かったので大事に至らなかったのが幸いだったのだが、

「もういつ感染してもおかしくないね、こりゃ…。」

とまた同僚たちとつぶやいていた。

 

10月も末になってくると、ヨーロッパの国々では「クリスマスを家族と過ごせるかどうか」ということが大きな課題になってきた。

クリスチャンの国々のクリスマスは日本でいうところのお正月。

たまにしか会えない親族や友人たちと集まって一緒にクリスマスディナーを食べたり、パーティーを開いてみんなで飲んで食べて、ゲームをしたり、TVの特別番組を見ながらうたた寝したりする時間…。

クリスマスを見据えて、ドイツやフランスは早くからロックダウンに入った。

「家族とクリスマスを一緒に過ごせるように今がんばりましょう!」と呼びかけていた。

警戒レベルがあちこちで上がってきているUKでも

「クリスマスの頃にピークにならないようにもうロックダウンにした方がいい!」

という意見が多くでてきた。

会社でも学童児のいる同僚たちは、「いつ学校で感染者がでて学校閉鎖になるかわからずドキドキして過ごすなら、いっそのこと正式にロックダウンにして欲しわ!」と言っていた。

                                                                                            

ホームキットPCR検査を家族で受ける

このように10月に入ってヨーロッパのあちこちでコロナの感染率が再び急上昇してきた頃、夫に風邪の症状が現れてきた。
熱っぽいのと普段から喘息の気があり体調が悪いとすぐに肺に症状が現れるので、「ひょとして?」と不安になってきた。
幸いコロナの典型的症状である味覚と臭覚の喪失はないようなので、「だいじょうぶかも?」と思ったが数日たっても咳が出ていたので「PCRテストを受けてみよう」という事になった。

政府もポスター等で「コロナの症状があったら、症状が軽くてもテストを受けましょう」と呼びかけている。

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「症状が重くなくてもコロナの症状があればテストの予約をしましょう」と呼びかける政府のポスター* (*HM Government / NHS)


PCR検査はオンラインで予約ができるようになっている。
3月に娘がこのテストを受けた時はオンラインで近くのテスト会場を選んで予約した時間にそこへ行くことになっていた。
今回夫がオンラインで予約を入れようとしたら、「テスト会場に行く」の他「ホームテストキットを郵送で受け取る」という選択肢が増えていた。

この日仕事から帰ると、
「オンラインでホームテストキットを選んだら同世帯の人4人までなら一緒にリクエストできるようになってたから家族全員分送ってもらうよう頼んでおいたよ」と夫が言ってきた。
「全員分?!」
「まぁ、私は症状ないけど念のため調べておいた方がいいかもね。あなたが陽性だった時のために…。」

ということで私にはコロナの症状は何もでていなかったが、テストを受けることになった。受けるとなるとちょっと不安になってきた。コロナの症状が現れなくても抗体テストで陽性反応がでたという人を数人知っている。

「もし症状がなくてもPCRテストを受けて陽性だと判明したら?」

会社に連絡して、私と濃厚接触していた同じ部の同僚たちは自主隔離になって、私の居た場所や触ったところは消毒されて、ひょっとしたら会社も閉鎖に..?

というシュミレーションが頭の中でグルグル回っていた。

幸いテストキットが届いたのは翌日、私が有給休暇を取っていた金曜日だったので、翌週の月曜日に会社に戻るまでには結果がわかる予定だった。

「会社閉鎖の原因になりたくないから、どうか陰性でありますように!」

と症状がなくても不安になってきた。

 

ホームテストキットは1セットづつにバーコードのシールが数枚同封されていて、このコードの番号をオンラインで自分の個人情報と共に登録するシステムになっていた。

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PCR検査のホームテストキットの中身

またテストのサンプル採集の仕方を説明するビデオのリンク*もメールで送られてきた。(*https://www.youtube.com/watch?v=zCqo7MhQT6U

早速ビデオを見ながらサンプル採集!

ステップ1:手を洗う

ステップ2:口を大きく開け、キットの中に入ってきた長い綿棒を左右に動かしなが

      ら扁桃腺を5回触る。

      口から出すときは歯や歯茎など、どこにも触れないように注意する。

ステップ3:同じ綿棒(!)を今度は鼻の中に入れ、これ以上奥に行かないという所

      でまた左右に5回動かす。

      (ここまで終わったところで私は涙と鼻水でじゅるじゅるしてきた…)

ステップ4:再びどこにも触れないように鼻から綿棒を出し、液体の入ったプラス

      チックのチューブに綿の部分を下にして液体に漬かるように入れる。

      長い綿棒の真ん中に少し凹んだところがあるので、その印のところで

      棒を半分に折る。(長いままだとふたが閉まらないため)

ステップ5:チューブの蓋を固く閉め、バーコードのシールを貼る。

      そしてこれを返信用のビニール袋にいれる。

      この袋にも同じバーコードが貼られている。

ステップ6:返送用の箱を組み立て、バーコードのシールを貼り、サンプルの

      入った袋を入れる。

ステップ7:最後にもう一度手を洗う。

ステップ8:返送用の箱を「Priority」マークのついた指定されたポストに投函する。

 

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採集したサンプルを液体の入ったチューブにいれたところ

 

幸い我が家から一番近い郵便局のポストが「Priority」に指定されたポストだったので、夫が家族全員分まとめて投函しに行った。

一緒に投函したのになぜか結果はばらばらに来た。

夫と息子の結果は早速翌日メールで送られてきた。幸い2人とも「Negative-陰性」だった。咳がでていた夫が陰性だとわかってホッとしたのだが、私の結果はいつ?

娘の結果は日曜の午前中に来て陰性だった。

月曜日に会社に行く前までに結果が来ないかしら~、と祈っていた願いが届いたのか日曜の午後にやっとメールが届いた。

私のテスト結果も同じく陰性!「ほっ!」                                                                

これで月曜日に堂々と会社に行ける!と私は安堵した。

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テストの結果がメールで送られてきた

 

再び? ロックダウン・バージョン2

10月の最終日31日(土)の夜、夫と久しぶりにタイレストランへ外食に出かけた。

「コロナの第2波がやってきていて、いつまたレストランが閉まるかわからないので今のうちに!」と言いながら。

食事をしていると私の携帯にニュース速報が入ってきた。

それは「イングランドが11月5日から12月2日までの1ヶ月間ロックダウンに入る」という首相の発表があったというニュースだった。

「やっぱりね…。」

と夫と一緒に頷いた。

「事態がこれ以上悪化したらクリスマスに親族と集まれなくなるなるかもしれないから、今ロックダウンにするしかないよね..。」

と納得したが、「またジムも美容院もショッピングモールも閉まっちゃうのかぁ。」と残念な気持ちになった。

「次にこのレストランに来るのはいつになるかしら?」と思いながら、私はパッドタイヌードルをかみ締めながら食べた。