2022年5月~6月:3年ぶりに念願の日本一時帰国:ハードル高すぎ![その1]

今まで日本に行くにはリスクありすぎだった

コロナが始まってからというもの、日本の家族に会いに行くための一時帰国はこの3年間諦めていた。

出発前のPCR陰性証明を取得するだけでなく、日本に到着してからも更なる検査、そしてホテルで6日間の隔離(後になって滞在先での待機に変わった)、隔離が終わった後もAIからの位置確認や健康チェックが入ることを考えると、最低3週間は有休をとらなくてはならないし、隔離が終わった後も滞在先までの移動は公共の交通機関使用禁止なので、高い費用を払ってコロナ対策が施されたCOVIDタクシーを予約しなければならなかった。

3週間有休をとっても、家族と過ごせるのは2週間あまりだし、毎日のように位置情報をチェックされるのであれば、家族と遠出もできないし、空港からの移動に新幹線なみの費用を払わなくてはならない。

それに、航空券を買った後で陽性反応がでてしまうと全てのプランを練り直さなければならいリスクもあるし、そのコストをカバーするために通常より高い保険にも入る必要もある。

 

昨年の年末に日本に帰省した知り合いの中には、無事に検査をクリアしてCOVIDタクシーを使って実家にたどり着いた翌日、保険所から「同じフライトに乗っていた乗客からコロナの陽性反応が出たので隔離が必要です。」と連絡が来て、空港近くの隔離ホテルに連れて行かれ、お正月を家族と一緒に過ごせなかった人もいた。

本人が陽性でなくてもこんなショッキングなことも起こりえるリスクが…。

こんなこともあって、私を含めイギリスに住んでいる日本人の知人、同僚たちは日本入国の際の水際対策が緩和されるのを「ああ~、早く緩和されないかしら..。いったいいつになったらもっと簡単に日本に行けるようになるのかしら~。」と首を長くして待っていた。

 

「水際対策強化に係る新たな措置(27)」でやっと日本へ行けそう…

UKでは2022年になった途端、コロナの規制がどんどん解除されていき、3月末にはほぼ全ての規制がなくなった。

4月に入ると、皆コロナのことは忘れたかのようにマスクもなければ、陽性になっても、風邪をひいた時と同じような対処ですむような普通の生活に戻っていた。

 

そんな頃、やっと日本の水際対策が緩和されるというニュースが入ってきた!

「水際対策強化に係る新たな措置(27)」なるものが4月21日に発表された。

「新たな措置」といえども、もうバージョン27だ。

そして毎回新しいバージョンが出るたびに、厚生労働省のホームページにまどろっこしく書かれた謎解きのような内容を何回も読み直して、UKから渡航する自分に当てはまるルールは何が変わったのかを、周りの日本人の人たちと認識が合ってるか確かめ合った。

 

UK在住の日本人にとって今回の緩和の大きなポイントは…

 

  • 指定国・地域以外から帰国する人で、ワクチンを3回接種していることが確認できる証明書を保持していれば、入国後の待機はなし。
  • 入国後、公共の交通機関が使用可能に。

 

の2点!

4月の時点で、UK(英国)は指定国のリストには入っていなかったし、私はワクチンを3回接種済みなので、入国後滞在先(実家)でじっと篭ってなくてもOKになった。

そして日本の空港についたら、すぐに公共の交通機関を使って移動できる!

「もう、これは行くっきゃないっしょ!」

と夫に宣言し、すぐさまフライトを調べ始めた。

ちなみに、日本はその時点ではまだ外国人の入国に制限があり、コロナ前はビザなしで日本に入国できた外国人も今では特段の理由がないとビザの申請もできない。イギリス人の夫は、配偶者ということでビザを申請できるのだが、そのための書類を揃えたり、ロンドンにある日本大使館に申請と受領で2回行かなくてはならない。

今回は日本を見て回る目的ではなく、私の両親と妹家族に久しぶりに会うのが目的なので、ビザ申請の手間をかけて日本へ一緒に行っても、ほぼ毎日実家で両親と過ごすことになりそうだったので、私一人で行くことにした。

ワクチンを3回接種済みで指定国に滞在していなければ日本入国後の待機はなしになった。
(厚生労働省の水際対策27より)

日本に到着後、公共の交通手段も使えるように!



ハードル1:ウクライナ戦争で日本までのフライトが減便+遠回りに…

私はイギリスの中部にあるレスター市という街に住んでいるので、今まで日本に帰省する際は、ロンドンのヒースロー空港ではなく、我が家から車で1時間ほどのところにあるバーミンガム空港から、ヨーロッパの都市を経由して関空まで飛んでいた。

バーミンガムからは主にヨーロッパの都市へフライトが多く飛んでいて、日本行きに乗り継げるのは、エアーフランスのパリ経由、KLMのアムステルダム経由、そしてルフトハンザのフランクフルト経由。どれも最初の区間は1時間~1時間半ほどで、乗り継ぎ時間が2時間くらい、そしてその先の日本までは11時間くらいで、トータル移動時間が14~15時間でいい感じに乗り継げていた。

うちからヒースローまで車で行くと2時間半かかるので、結局トータールで考えると乗り継ぎでも全然よかった。

しかし、今回日本に行くと決めてフライトスケジュールをチェックしてみると、以前あったようないい乗り継ぎ便がでてこないではないか!

これは、ウクライナ紛争が始まって、ロシアへの経済制裁が始まったことで、欧州から東アジアへの最短ルートであるロシア上空を飛べなくなったため、フライトのルート変更に伴う発着時間の変更や減便になっているルートもでてきたからのようだ。

今まで14~15時間だった乗り継ぎ便は、なんと28時間近くかかるようになっていた。

「これじゃ、往復で2日以上かかって日本で過ごせる時間が少なくなっちゃう!」

ということで、ヒースロー発の直行便を見てみた。

残念ながら、ヒースローからは関空行きの直行便は出ていないので、羽田経由となる。

今までBA(British Airways)、ANA、JALが直行便を飛ばしていたのに、BAはJALとの共同運航便のみ、そしてANAは5月いっぱいまで全く飛ばなくなっていた。

というわけで、選択肢はただ1つ。JALに決定!

JALの直行便でも今まで12時間で日本まで行けてたのに、15時間かかるようになっていた。

フライトルートを調べてみると、日本行きは南ルートでヨーロッパを南下してトルコを通りロシアの下にある国々の上空を通って行くルート、そして帰りは北周りルートで、アラスカ、グリーンランド、アイスランドの上空を通り、スコットランドからUKに入るルートのようだ。

ロシア上空を飛べなくなったので、飛行ルートがこんな風に変わった

 

今まで15時間も飛行機に座りっぱなしだった経験がないので、ちょっと不安だったけど、これしかチョイスがないから仕方がない。

シートマップを見てみると、空いているところが少ししか残ってなかったので、私は早速行きは5月29日、帰りは6月11日で予約を入れた。値段は約1000ポンド(約16万円)

今までのこの時期の料金に比べると割高だけど、直行便だし、燃料の値上げもあるのでこれも仕方がない…。

しかし、いざ予約を入れるとだんだん日本行きが現実身を帯びてきてちょっとワクワクしてきた。

「15時間の飛行時間を退屈しないで過ごすために、IpadにNetflixからドラマをたくさんダウンロードしておこう!」と私は日本行きの準備を開始した。

 

ハードル2:日本入国のための書類やアプリの準備 – 出発直前までドキドキ

飛行機を予約してワクワクしてきたのもつかの間、今度は入国のために必要なアプリに登録したり、必要な証明書をアップしたり、ちゃんと必要な物がぬかりなく揃っているかチェックしたりと、だんだん神経がピリピリしてきた。

と言うのも、コロナの陰性証明書が必要条件を満たしていなくて搭乗拒否されたというケースがあったと聞いたり、出発前72時間以内に受けたPCR検査で陽性反応がでてホリデーを延期しなければならなかった人がいたと聞いたりで、最後まで気を抜けないストレスに襲われてきた。

5月出発の時点で事前に用意が必要だった物は…

  • 政府のアプリ「My SOS」を携帯にダウンロードしておく
  • My SOSに自分の詳細(名前、生年月日、パスポート番号、等)と登録してQRコードを取得しておく
  • My SOS内にある質問票に答え、誓約書にサインして、登録済みにしておく。
  • ワクチン接種証明書をNHSのアプリがらダウンロードしてMy SOSにアップしておく。これは簡単にできるので問題なし。
  • 出発前72時間以内にPCR検査を受ける必要があるので、予約を入れる。

私は出発2日前に「翌日サービス」を予約した。出発前日に結果がくるので、ここで陽性だったら..と想像しただけでストレスレベルがアップ!

また「陰性証明は日本政府が指定したフォームを使うこと」と厚生労働省のホームページに書いてあるのだが、こんなイギリスの地方都市でこのフォームに記載して署名してくれる検査センターはあるの??と疑問だらけ。

そんな融通の効くサービスはイギリスには絶対なさそうだが、せめて必用要件を満たしてくれてるといいのだが..。

私は、過去数ヶ月の間に日本に行った人たち数人に聞き込み調査をして、無事に証明書を受付てもらえた成功事例のあるバーミンガム空港内の検査センターに予約を入れた。

 

My SOSアプリに質問票、誓約書、ワクチン接種証明書の3点をアップロードし終わると、最初赤色だったアプリのホームページが黄色に変わって、最後のPCR陰性証明書をアップすると緑に変わるシステムになっていた。

そして、出発当日、この緑になったMy SOSを提示しなければ航空会社のチェックインカウンターで、搭乗拒否されるというしくみだ。

 

私はなんとしても、この出発前のPCR検査をクリアしなければならぬ!と思い余計なリスクを避けるためにも、検査日の前の週からスポーツジムに行くのもやめ、人ごみの多い所は避け、スーパーに買い物に行く時は再びマスクを着用した。

そして金曜の夜ライブバンドの演奏をやっている賑やかなパブに友人たちと出かけて行った夫とはその日から出発日まで別の部屋で寝ることにした。

この努力の甲斐があってか、出発の前の日に無事陰性結果のお知らせが、PDFの証明書とともにメールで送られてきた。

私は早速証明書をMy SOSにアップした。

半日くらいするとホームページが緑に変わった!

私は思わず「やったぁ~!これで間違いなく日本に行ける!!」と叫んだ。

家族全員と、たまたま家に来ていた来客たちが皆拍手して喜んでくれた。

皆、私がこの数週間、最悪の事態を想定したりしてピリピリしてたことを知っていた。

ずっと心配していたPCR検査の結果がきて、「あとは飛行機に乗るだけ!」とちょっと安心して荷造りを始めた。

緑に画面が変わったMySOSと、登録が完了してQRコードが出ている画面

 

4月にバーミンガム空港からブダペストに行った時は、手荷物検査に2時間以上並んだので、今UKの空港が大混乱していることは十分承知している。

今回も余裕もって3時間半前までにヒースローに着くようにしなければ…。

今までMy SOSに書類をアップして画面が緑になってくれる事で頭がいっぱいだったのだが、今度はニュースでよく報道されている相変わらず超大混乱のUKの空港が気になってきた。

あ~、日本に帰る準備をするのに、こんなに気疲れしたこたが過去にあっただろうか…。