2021年1月 その2:家族全員がコロナに感染!- 隔離生活の1ヶ月

一家全員コロナに感染!

娘は陽性反応がでた翌週には、少しづつ症状がよくなってきた。

この週のニュースには、ワクチン接種をスピードアップするためにイングランドの7都市に大きなワクチン接種センター(Mass Vaccine Centre)がオープンしたとでていた。

優先順位の高いグループの人たち約1千5百万人を2月中旬までに接種完了するのがターゲットのようだ。

またこの週は30秒毎にイングランドの病院にCOVIDの患者が入院している(!)という統計もでた。早くワクチン接種完了者の数が、感染者数を追い越して欲しい。

 

そう願っているのも束の間、このニュースのあった週に、私にもコロナの症状が現れてきた。軽い咳が出たり、筋肉痛のような痛みが体に出てきた。

コロナというよりは、インフルエンザのような症状だ。

「ひょっとして…?」と思い、今度はホームテストキットではなく、娘の行った近所の公園にあるテストセンターへ行って再度PCR検査を受けてみた。

その日の夜、早速結果が届いて、嫌な予感通り陽性だった。

「あーあ、ついに…!」

そして、この結果が来たとほぼ同時に、夫と息子にも症状が現れ、二人とも再度PCRテストを受けてみたところ、今度はやはり二人とも陽性だった。

最初に陽性反応がでた娘と濃厚接触していたことで、当初の隔離期間は1月15日までだったのだが、私に陽性反応がでたので、隔離期間が23日までになった。

その後、夫と息子に陽性反応がでたので、再びNHS Tracingアプリから連絡が来て、28日まで隔離することになった。

「今月は、もう家の外に出られないね…。」と全員腹をくくった。

 

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NHSのアプリ:PCR検査の陽性結果が来たと同時に隔離期間のカウントダウンが始まった。

患者第一号の娘の症状が軽かったので、「皆同じかな..」と思っていたのだが、皆それぞれ少しづつ症状が違っていた。

娘:初期は軽い咳、寒気と筋肉痛、後期は軽い頭痛、熱はなし

息子:初期は喉の痛みと熱っぽさ(体温は37度以下)、後期は息切れ

私:初期は寒気と筋肉痛、後期は割れるような頭痛と倦怠感、熱はなし

夫(軽い喘息持ち):初期は下痢、頭痛と咳、中盤からはかなりの息切れ、熱はなし

 

全員頭痛や筋肉痛など、何らかの痛みを伴っていたので、あの春のロックダウン前に買いだめしておいた解熱鎮痛剤のParacetamol(パラセタモール)の出番がきた。

全員この鎮痛剤を毎日飲んで痛みを緩和しながら過ごした。

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隔離対策キットを用意:鎮痛剤や殺菌グッズ


 救急車を呼ぶ

一番心配したのは軽い喘息持ちの夫。

陽性結果のでた2日後くらいに、息切れがひどくなり、息ができないことでパニックになった。その夜は救急車を呼ぶことに。

以前突然腹痛を起こして夫が動けなくなったことがあり、救急車を呼んだことがあるのだが、その時は緊急の呼び出しが殺到していたらしく待ち時間4時間と言われたので、私が夫を病院の緊急受付まで連れて行くことになった。家から病院まで20分なので、4時間よりよっぽど早く着く。

結局この時は緊急受付でも8時間待って、ようやく大腸炎だということがわかった。

(全然緊急受付になってない?)

 

救急車の待ち時間が長いのはニュースでもよく取り上げられていることなので、今回は早めに行動しようと、夫の呼吸困難が悪化する前に救急車を呼んだ。

病院に連れて行くにも、コロナに感染していて自己隔離中なので、家からも出れない。

幸い今回は30分くらいで救急隊員の人が来てくれた。

30代くらいのお姉さんの2人組だった。

二人とも明るくて、心配で沈んでいた私たちのムードを明るくしてくれた。

テキパキと次から次に装置を夫に取り付けて、血圧、ECG, 心拍数、血中酸素濃度などを測ってくれた。

全ての測定値は正常値の範囲だったので、「酸素吸入は必要ないですよ」言われた。

夫は息ができないことで、「酸素ボンベがいるかも」と思っていたようだが、この救急隊員のお姉さんの言葉を聞いて安心したのか、検査してもらった後は少し楽になったようだった。

「とにかく、大事にいたらなくてよかった。もし病院に入院ということになっても、今の状況では誰も病院に会いにいけないし…。」

私はちょっと前に見たドキュメンタリーで、「コロナで病院に入院したまま、家族に会うこともできずに亡くなってしまった人がたくさんいる」ということが取り上げられていたのを思い出していた。

本当に大事にいたらなくてよかった!

救急隊員の人たちは、コロナに感染している人たちにも分け隔てなくテキパキと対応してくれて、本当にヒーローだなと思った。

今回のことで、息苦しくなるとパニックに陥って、それが呼吸を悪化させる要因にもなることがわかったので、「血液中にちゃんと酸素が行き渡っている」ということがわかれば、ちょっとでも安心できるのではと思い、あの救急隊員のお姉さんが持っていた「Pulse Oximeter (血中酸素濃度計)」を買うことにした。

これから夫の息切れがする時はこれを使って酸素濃度を測ることにしよう。

 

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パルスオキシメーターで酸素濃度を測定中

隔離の日々

隔離中は毎日が同じで、1日1日の区別がつかなくなりそうだった。

倦怠感がひどい時は、目が覚めてもベッドから出るまで時間がかかったり、ベッドから出ずにしばらくベッドに座ったままノートブックパソコンでブラウジングしたり…。

家族全員がそんな感じだったので、食事もそれぞれお腹がすいた時に簡単なものを作って食べた。こういう時は「子供が成長していて助かった」と思えた。

10日間の隔離中にNHSから電話が3回、メールも3回くらい来た。

電話はたいてい「あ~まだ、だるいからもうちょっとベッドで横になってようかな~」と朦朧としている朝の8時半~9時くらいにかかってきた。

2回目からはこの時間帯に携帯が鳴ると「ああ、NHSの確認電話だ!」と慌てて飛び起きて電話をとることに。

だいたい毎回同じ質問で、「体調はどうか」「ちゃんと家に篭っているか」「隔離の日数はあと何日か」「何か質問や困っていることはあるか」など。

メールの内容も同じだった。

またNHSのアプリには隔離期間があと何日残っているかのカウントダウン画面が現れた。

 

少し体調がよくなってきた中盤以降は、大掛かりな掃除や家事をやる気力はまだなかったので、ひたすらストリーミングサイトで日本のドラマを見まくった。

あとは、心配して電話をくれる夫の家族の人たちと話をしたり、スカイプで日本の家族と近況報告したり。

毎日「あれ?さっき起きたのにもう寝る時間?」という感じで過ぎていった。

このように単調な毎日を過ごしていると、スーパーのオンラインで注文した食料を届けてくれる配達のおじさんが来ることすら「1日のハイライト」に思えてきた。

「うわぁ~、外の世界の人だぁ!」という感じで…。

 

私たちが隔離している間にも、悪いニュースは続いていた。

コロナによるUKの死亡者数の合計が10万人を超え、過去3週間の死亡者数だけでも2万5千人に登ると。また人口呼吸器に頼っているコロナの患者数が過去最高記録になったとも。

解熱鎮痛剤で対処できている私たちはラッキーなのかも、と思えてきた。

 

また隠れてハウスパーティーを開いて集まることへの罰金も強化された。

パーティーに参加した人それぞれに800ポンド(約12万円)の罰金が科せられることになった。

にも関わらず400人を招いて結婚パーティーを開いていた人たちが警察に見つかり、主催者に1万ポンドの罰金が課せられたりというニュースがあったり。

コロナに感染して隔離中の私たちから見ると、「いったい、この人たち何考えてるのぉ~!」と言いたくなる。

隔離中に唯一いいニュースだったのはワクチンの接種完了者数が感染者数をやっと上回ったこと。これからどんどんこの差が大きくなって欲しい。

 

幸い隔離期間が終わる頃には私の体調はだいぶよくなり、ひどかった頭痛もたまに軽い頭痛がする程度にまで回復した。

娘と息子もほぼ元通りに回復したのだが、夫は隔離期間が終わった後もまだたまに息切れがしている。長引かないといいのだが…。

 

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隔離もようやく終わりに近いた

ちょうど隔離が終わったころ、イギリスは寒波に見舞われ久しぶりに雪が降った。

一晩にして周りの景色が真っ白になったせいか、外が明るくなった。

コロナから回復した娘は早速庭で雪だるま作り。

私は、ネットで買ったもので返却したいものがあったのだが、隔離期間中は郵便局にも行けなかったので、「体調もよくなったことだし、郵便局まで雪道を歩いて行こう!」と思い立って久しぶりに外出をすることにした。

1ヶ月近く一歩も外に出ずに過ごしたせいか、服役を終えて10年ぶりに外の世界に出るような気分だった。

「ひょっとして私が篭っている間に世の中変わってたらどうしよう…?」とちょっとオドオドしてしまった。

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久しぶりに降った雪で次の日は外が明るくなった。娘の作った傾いた雪だるま