ロックダウン5週目(4月20日~4月26日頃) - ロックダウンが始まって1ヶ月

ファーロウ・ワーカー(Furlough worker)になる

この週の月曜日、Eメールのチェックをしていると会社からメールが届いていた。

来月からの雇用形態についてだった。

やはりコロナ対策で事業がかなりスローダウンしているため、3月に予告のあった通り私の雇用主も政府の「Corona Virus Job Retention Scheme (コロナウィルス雇用保持制度?)」という補助金制度を取り入れることにしたらしい。

この制度はロックダウンが始まった直前に大蔵大臣のスナーク氏から発表のあった対策で、国が雇用者のお給料の80%を肩代わりしてくれるというものだ。(最大2500ポンドまでという制限付き)

「コロナ対策のため雇用の継続が困難になった」というのが条件なので、基本的に政府からお給料の80%を出してもらっている間は、仕事をしないことになっている。

言い換えると「仕事はしないけれど、雇用は継続している」そしてその間お給料の80%は政府が肩代わりしてくれる、ということだ。

この状態のことを「Furlough(ファーロウ)」と言うらしい。

私がイギリスに住み始めてこの26年の間、今までこの単語を耳にしたことはなかったが、最近になってこの単語が毎日のようにとびかっている。

「I have become a furlough worker!」とか

「I have been furloughed.」

という感じだ。

政府の発表によるとこの制度は最長10月末まで行われるらしい。

ということは、10月までは80%のお給料は保証されているけど、その先はどうなるかわからない、ということだろうか? 

それまでに世の中の事業が回復に向かってくれてることを祈りたい。

 

会社から来たこのお知らせメールでは、4月のお給料は全額支給、5月からは80%になるので、5月1日からは、自宅待機でメールのチェックもしないように、との事だった。

私宛に届いたメールは会社に引き続き通う数人のメンバーに自動転送されるよう設定してくれるようだ。

今まで最大でも2週間の休暇しかとってなかったので、「おお~!これから毎日フリータイム?」と嬉しかった反面、「どこにも行けなくて家にしか居れないけど何しよう?」

「Netflix見放題だわ!」とか「いやいや、やっぱり何か始めなきゃ…」「ロックダウン太りが悪化しないようにしなくては!」

というような思いが頭の中をグルグルと回っていた。

 

結婚記念日とBig Night In

今週の木曜(23日)はちょうどこのロックダウン生活が始まって1ヶ月!

そして私と夫の結婚記念日だった。

一番最初のページにも書いたように、昨年の今頃は結婚記念日の自分たちへのプレゼントとしてアムステルダムに行っていた。

ちょうどオランダの国王のお誕生日を祝う祝日(King’s Day)で街の中はお祭りが繰り広がれていた。

私と夫は観光客や地元の人たちでごった返す運河沿いを歩いてはカフェやバーで飲み物をのみながら休憩していた。

夜になると運河沿いのあちこちに設置されたステージでコンサートが始まり、まるで屋外ナイトクラブのような雰囲気で皆楽しそうに踊ったり飲んだりしていた。

あれから1年たった今日…。

飛行機は飛んでない、イベントは中止、外出も食料の買出しのみ、カフェやレストランは漏れなく閉店、と全く違う世の中になってしまった。

 

「今年はひっそりとした結婚記念日だね..。」と言いながら夕飯のあとTVをつけるとBBC

で「Big Night In」という特別番組をやっていた。

BBCで毎年放映されるチャリティー番組「Children in Need」と「Comic Relief」の二つを今年は合同でやり、集まった募金はコロナと戦ってくれているNHSにも寄付されるそうだ。また集まった寄付金の合計額と同等の金額を政府がトップアップしてくれることになっているらしい。

Children in Need」→ 恵まれない子供たちや、金銭的なサポートが必要な子供たち、またそのような子供たちをサポートしてる団体等に寄付する目的で行われる募金活動。

生活に困っている子供たちや、身体障害者の親の介護と学校生活の両立で苦労している子供たちのドキュメンタリーを流したり、テレビに有名人たちがでてきていろいろなパフォーマンスが行われたり、各地方でどのような募金活動が行われているかなどがレポーターたちを通じて報告される。

日本でいうところの「24時間テレビ」みたいなものだ。

 

Comic Relief」→この募金活動は元々80年代にアフリカの飢饉で食料難になった人々を救済するためにコメディアンの有名人たちが、お笑いによって募金活動を始めたというのが始まりでこれも毎年BBCで放映される。

人を笑わせて募金活動をする1つにトナカイのように鼻を赤くして(赤いボール状の鼻をつける)司会者たちが登場し始めてからはRed Nose Day」とも言われるようになった。

番組ではいろんなコメディアンの人たちがコントをしたり、コメディーのミニ番組を作ったりして、それが放映される。最近ではアフリカの恵まれない人たちだけでなく、国内のメンタルヘルスをサポートする団体や、家庭内暴力やホームレスで行き場のない人たちを救済する団体など幅広い分野に寄付されているようだ。

 

今年はこの2つの募金活動番組もロックダウンによって中止になったが、その代わりに有名人たちが自己隔離している家からコメントをビデオで送ってきたり、複数の芸能人たちがそれぞれ歌を歌いそのビデオをつなぎ合わせて1つのビデオにしたりと、いろいろと思考を凝らした合同番組を作っていた。

 

色々なイベントが中止されている中、芸能人の人達が限られた時間と手段でこのような番組を作成したのはすごい努力だと思う。

「今年の結婚記念日のイベントはこれだね..。」といいながら夫と居間のソファーに腰を下ろしてこのチャリティー番組を見ていた。

来年はどこかに行けるといいな…。

 

数日後の時点で寄付金の合計は2千740万ポンドを超えたとのことだった。

 

 

ロックダウン中に歯が痛くなると

この週のニュースで歯医者もロックダウン中は開いてないので、虫歯で歯が痛くなった人や歯がぐらついてる人たちが、「歯医者に行けないので自分で歯を抜きました」というビデオが流れていた。

抜いた後自分で撮ったという写真には血まみれになったものも…。

「ええぇ~!自分で歯を抜いた??」

私は「どうかロックダウンが終わるまで私の歯に何も起こりませんように~!」と祈った。

 

ところが!

このニュースを見て2日後に、何の前触れもなくいきなり私の奥歯に痛みを感じるようになった。

私の脳裏には、あの自分で歯をぬいて血まみれになった人の写真がフラッシュバックしてきて、背筋がゾッとしてきた。

「一時的なものかもしれないから様子をみよう…」と思い1日置いたが、時間がたつにつれて痛さが増してきた。

何もしなければ痛みはなく、物をかんだり、歯をかみ合わせた時だけ痛みを感じるので、もしかしたら歯ではなく、歯茎が炎症してるのかも?

「私の行き付けの歯医者さんは開いてるかしら..」

と思いダメもとで歯医者さんに電話してみたら、なんと受付の人が電話に出てくれた。

「症状は何ですか?」と聞かれたので、自分の症状を伝えたところ、その内容を歯科医の先生に伝えてくれて折り返し電話をくれるとの事だった。

「何か処置が必要でも恐らく今の状態だと処置を受けるのは無理かも…。ソーシャルディスタンス対策がとられてるかどうかもわからないし。」と不安に思っていた。

5分後くらいに、いつもの歯科医の先生から電話がかかってきた。

もう一度症状を伝えると、「それは歯茎に炎症がおきてますね。抗生剤の処方箋を出しますが、取りにこれますか?」

と言われたので、「はい!!」と返事してほっと安堵した。

歯医者さんに行くと、いつもの入り口は入れなくなっていて、窓をノックするようにという張り紙がしてあった。

私が窓をノックするとマスクをした受付の人が窓を少しだけ開けて、そこからそっと処方箋を渡してくれた。

私は、人に見られたらまずいドラッグか何かの闇取引きをしているかのような錯覚に陥ったが、何はともあれ、「この処方箋があれば痛みが治まる!」と安心した。ほっ!

行きつけの歯医者さんが閉まっていても対応してくれたおかげで、私の痛みも3日後にはなくなった。

「あぁ~、自分で抜歯することにならなくてよかったぁ~。」と私は胸を撫で下ろした。

 

ロックダウンから1ヶ月

今週でこのロックダウンが始まって早くも1ヶ月..。

1ヶ月の間にUKのコロナによる死亡者数の合計が20,000人を超してしまった。

改めてこのウィルスの恐ろしさを痛感した。

「いつになったら減少方向に向かってくれるのかしら…。」

と思っている矢先、久しぶりにいいニュースが!

オックスフォード大学の研究所でコロナウィルスのワクチンの人体テストが今週から始まるらしい。ボランティアの約1100人の人達のうち、半分の人達に段階を追ってこの新しく開発された「ChAdOx1nCOV-19」という長い名前のワクチンを接種するとのことだ。

ボランティアの人たちはこのオックスフォード大学の研究所があるオックスフォード、ロンドン、サウスハンプトン、ブリストルの4つの地域から選ばれた18-55歳の健康な人たちだそう。

一番最初にこのワクチンの人体テストをしてくれるボランティアの女性がニュースのインタビューで「コロナの感染予防に役立てて嬉しいです」と、不安な様子はまったくなく嬉しそうに答えていた。

この人体テストで、ワクチンが使い物になうかどうかがわかるのに最大で6ヶ月はかかるそうだが、ぜひいい結果がでますように!

そして研究所の研究者の皆さんと人体テストに参加してくれてるボランティアのみなさん,

ありがとう!

 

4月も半ばを過ぎるとようやくパニック買いで棚から消えていたトイレットペーパーやハンドソープが徐々にスーパーに戻ってきた。

   

 

  

f:id:Elsaleo:20200609182211j:plain

やっとトイレットペーパーがスーパーに戻ってきた!

しかし、いまだにスーパーでは手に入らないものが..!

それはあらゆる種類の小麦粉!

通常、小麦粉売り場には

  • Plain flour (普通の小麦粉)
  • Self-raising flour (お菓子用の小麦粉できめが細かく膨らむ)
  • Strong flour (強力粉)
  • Whole meal flour (ホールミールの小麦粉)

等が置いてあるが、どれもない!

それとパンを焼くときに使うイーストも見当たらない。

 

ロックダウン中こんなに普通の家庭での小麦粉の消費量が多いなんて…。

やっぱり時間があると人はお菓子を焼いたりパンを焼いたりしたくなるものなのだろうか?

なんでも、UK全体の小麦粉の貯蔵量は十分あるらしいのだが、通常の家庭用のパック(1.5kg入り)になるのは全製造量のわずか4%で、残りの96%は業務用(食品製造の工場等)らしい。この4%で足りなくなるほど、ロックダウン中は一般家庭での消費量が増えてるということか!

そういえば、同僚や友達とたまに「どうしてる?」というメッセージを送ると半分くらいの人がから「家でケーキ焼いてる」とか「お菓子焼いてみた」というような返事がきた。

みんなロックダウンが終わるころにはパティシエになってるかも!?

 

1ヶ月家に篭っている間に、恋しくなったものがある。

それはカフェで飲むコーヒー!

特に泡になったミルクが入ったカプチーノや、ミルクの量が多くてもコーヒーの香りがいいラテ…。

週末買い物に出かけるとよく夫や友達とカフェに入ってお茶してたのがはるか昔に思える。

よく土曜日の朝は息子がパークラン(全国の公園で行われる5キロを走るランニングのイベントで、メンバーになるとバーコードが渡され、タイムの記録が残る)に参加する際車で送って行き、私と夫は公園の近くのカフェで朝ごはん+コーヒーを飲んでいた。

「ああ~、あのコーヒーが懐かしい…」

 

「そうだ!26日の夫の誕生日にコーヒーマシンを買ってあげよう!」

「そうしたら、私も使えるし! ウッシッシ…!」

と思いついて、Costa Café (UKのカフェのチェーン店で、スターバックのようなお店)のコーヒーポッドが使えるコーヒーマシンといろんな種類のポッドをネットで注文した。

毎週のようにカフェに行ってたコストを考えると、コーヒーマシンとポッドの方が安上がり!

しかも夫のプレゼントも兼ねて、私にも恩恵が!

う~ん、これからのロックダウン生活、美味しいコーヒーを飲んで乗り切るぞ~!

 

 

        f:id:Elsaleo:20200609182043p:plain

 

この週UKのコロナによる死亡者数の合計は19051人⇒24055人*と1週間で5000人以上も増加。とてもショックな数...。

(*coronavirus.data.gov.ukより)