2021年12月:オミクロン株感染急上昇中にヨークのクリスマスマーケットへ
オミクロンUKで急速に拡散中
先月末にUKに上陸したコロナウィルスの新異変種オミクロンが、12月に入るとすごい勢いでUK内で拡散し始めた。
11月末に22人だったオミクロン感染者数も、12月2週目にはあっと言う間に6000人近くにまでになった。
なんでもイングランドの感染者数は2-3日おきに倍々で増えていっているとか。
今までの異変種の中でも一番感染力が高いということなので、これから何かとクリスマスに向けてパーティーや食事会、それにクリスマスショッピングで賑わう季節、どうなることやら…、と心配になってきた。
プランB
この新しい異変種オミクロンの爆発的な拡散を防ぐため、12月2週めには政府からイングランドでは「プランB」なる規制を実施すると発表があった。
この「プランB」とは...
- 再びリモートワークの推奨
- マスク着用義務化の範囲拡張 (劇場や映画館を含む)
- ナイトクラブなどではCovid Pass*提示の義務化
(*ワクチンを2回以上接種済みということを証明するQRコード)
この発表があったあと、私の職場ではまた同僚たちと「私たちもリモートワークになのかしら?」「ガソリンの値段も上がったことだし、通勤がなくなると助かるんだけどなぁ。」などと話していた。
しかし総務からは「先日のHealth&Safetyのインスペクションでは社内のソーシャルディスタンスがとれている、という結果がでたので今回はリモートワークは実施しません。」とのお知らせが。
ちょっと残念…。
ヨークのクリスマスマーケットへ
そんな中、今月半ばの週末私と夫はヨークに1泊2日で娘を迎えに行った。
大学のクリスマス休暇が始まるので娘は3週間ほど休みになる。
「電車のネットワークが悪い」&「イギリスの電車代はやたらと高い」という2拍子で、私たちの住むレスター市からだと車で迎えに行った方が断然安くて早い。
片道2時間ほどでヨークまで行けるので日帰りしようと思えばできるのだが、今回はせっかくクリスマスの時期なので、ヨークで有名なクリスマスマーケットをゆっくり見て回るためにも、ホテルを1泊とって泊りがけにした。
ニュースではドイツやオランダ、オーストリア等の国々ですでにオミクロン株の感染が広がり、ヨーロッパのこの時期皆が楽しみにしているクリスマスマーケットがキャンセルになった街もあるとでていた。
そのせいかどうかわからないけれど、UK国内のクリスマスマーケットにいつもより人が集まっているようだ。
私たちがヨーク市内に近づいてくると、クリスマス前の週末というのもあってか道がかなり渋滞していた。
ヨークに着いて車をホテルの駐車場に停めた後、娘と落合って早速3人でクリスマスマーケットへ!
(Covid対策のため最近どこのホテルも午後3時以降にしかチェックインできないので車だけ先に停めさせてもらった。)
街の中心にあるマーケットに行くとあちこちにMulled Wine(モルドワイン=温めた赤ワインにオレンジなどの柑橘類、ミックススパイス、砂糖などを入れたもの。クリスマスの時期によく飲まれる)の出店や、ヨークで有名なジンの入った温い飲み物を売っている出店がいくつもあり、アルコールのにおいがプーンと漂っていた。
私たちはマーケットに着くなりこのモルドワインを、そして娘はベーリーズ入りのホットチョコレートを飲んで温まった。
クリスマスマーケットの出店では工芸品等のクラフトグッズや、アクセサリー、洋服、クリスマスの飾り物、植物や地元で作られた食品など色んなものが売られていて、1軒1軒見ながら歩いて回るのは結構楽しかった。
出店の中には日本語でメニューやお店の名前が書かれたお店も。
何を売っているかと思ってみてみると、日本食らしきものは「ギョーザ」だけで、あとは「バオバン」や「フライドポテト」などのストリートフードだった。
人気があるのか人が並んでいた。
クリスマスマーケットだけでなく、周辺のショッピング街も多くの人で賑わっていた。
Shmbles(シャンブルズ)という中世の名残の残る石畳のせまい通りには観光客用のお土産屋さんが多く並んでいるのだが、ここに長蛇の列ができていた。
「いったいこの列は何??」と思いながら列の先頭の方まで歩いて行ってみると「York Ghost」というお店に辿り着いた。
娘いわく、誰かがこのお店で売っているゴーストの置物をインスタに載せたら爆発的な人気になったらしく、これを買い求めに来る人が殺到しているらしい。
私は「ふーん、そうなんだぁ。」と言いながらショーウィンドウを覗いてみた。
そこには高さ15cmくらいの小さなのっぺりとした形のゴーストの置物が並んでいた。
1つ約15ポンドくらいらしい。(約2300円)
「ええ!これが?このために皆並んでるの?」と思えるほどシンプルな形だった。
ひょっとしてヨークはゴースト(幽霊)が出ることで有名なので、お土産にするために皆並んでるのか?
この行列にもソーシャルディスタンスは全く見受けられなかったので、私はマスクをきつくつけ直して横を通り抜けた。
クリスマス前の週末だけあってカフェやレストランも人で賑わっていて、お昼どきは満席で入れない所もたくさん。
心配だったのは、マーケットのような屋外ではマスク着用は今のところ義務になっていないので、マスクをしていない人がかなりたくさん居たことだ。
久しぶりに人ごみの中を歩きながら、ちょっと不安になったてきた。
しかしクリスマスのデコレーションを見ながら街中を歩いてると、やっと「クリスマスが来るんだなぁ…。」と実感が沸いてきた。
次の日は、ヨークの街を取り囲む壁(シティー・ウォール)の上を歩いて、ヨークの景色を眺めたり、Jorvikというバイキング博物館を訪れたりと観光コースも回ってみた。
ヨークはその昔城塞都市として築かれ、今でも街の周りに壁が残っている。
4箇所ああるゲートからこの壁の上に登れるようになっていて、壁の上は幅はせまいけれど、歩けるようになっている。
街中を見渡せて景色もよくて、ランチの後の腹ごなしにはぴったり!
またヨークは866年にバイキングに乗っ取られたという歴史があって、バイキングにちなむ発掘物がたくさん出てきた街でも有名。
このJorvikという博物館では、発掘物の展示だけではなく、バイキングがどんな暮らしをしていたかがわかるように、当時の暮らしの様子が再現されたシーンを乗り物に乗ってオーディオガイドを聞きながら見て回れるようになっていた。
オーディオガイドは言語が選べるようになっていて、日本語もあったので、もちろん私は日本語で!
展示物を見て回るだけの博物館かと思っていたけれど、ビジュアルに当時の様子が伝わってきたのは期待以上でよかった。
最近出かけると言えば、通勤とスーパーに食料の買出しに行くくらいの日々だったので、娘を迎えに行ったついでだったけれど、久しぶりに小旅行気分が味わえた週末だった。
かなりの人ごみの中2日間過ごしたのが唯一心配…。
2021年8月~11月:新たな異変種OmicronがUK上陸・日本行きは絶望的...!
新たな異変種OmicronがUK上陸…
「3回目のワクチン接種も終わったし、これでまたしばらくは安心!」と思いきや、11月になるとドイツ、オランダ、オーストリア等のヨーロッパの国々でコロナの感染者数が急上昇したため、また再び出入国の規制が厳しくなってきた。
しばらくUKから出てない夫もそろそろどこかに行きたくなってきたのか、「今年のクリスマス前後にでもヨーロッパのクリスマスマーケットを見に、ドイツかどっかに行かない?」
と言っていた矢先だったので、
「よかったね、まだ何も予約してなくて!」とほっとした。
「ほんと今になっても、いつルールが変わるかわからないからやっぱりまだしばらくはじっとしておくのが一番だね…。」とまた希望を打ち砕かれた。
「でも日本の感染者数が激減してるみたいだから、そろそろもっと入国規制が緩和されるんじゃない? 次の旅行は日本がいいな..。」とほのかに期待を膨らませていた。
そんな時、11月ももうすぐ終わろうという25日、TVでは「南アフリカからの新異変種Omicronが見つかった」とのニュースが流れていた。
そして、このニュースが流れた翌日、UKの水際対策が11月30日付けで強化されると発表があった。主な内容は…
- 公共の場(屋内)ではマスクの着用を再び義務化(これはずっとやっててほしかった!)
- UKに到着した人全員にPCR検査の義務付けし、陰性の結果がでるまで滞在先で待機
- Omicron異変種の感染者と接触した人はワクチン接種済みであっても10日間の隔離要
- 南アフリカをはじめとするOmicron異変種の感染地(主にアフリカの11カ国)でレッドリストの国からUKに到着する場合は、政府指定のホテルで10日間の隔離をすること。費用2,285ポンド(約35万円)は個人負担
このニュースが流れた日、会社に行くと南アフリカ出身の同僚が落胆していた。
今年のクリスマス休暇に南アフリカの家族に4年ぶりに会いに帰るため、もうフライトも予約済みだったのに、このOmicronの規制がかかったためキャンセルしないといけなくなってしまった。なんという悪いタイミング…。
久しぶりに会うのを楽しみにしていた南アフリカの家族の人も泣いていたと。
このUKの水際対策のニュースとほぼ同時に、日本も対策を強化しというニュースがでていた。
この間まで緩和されていた対策が中止されるらしい。
- 外国人の入国停止
- 日本到着の際のホテルで3日間の隔離免除の停止(ワクチン接種者でも)
せっかくそろそろ日本に行ける日も近づいてきたと思っていたのに、まだまだ先になりいそうだ。(泣)
夫と一緒に行けるのは数年後だろうか。
ああ~、温泉と美味しい食べ物が遠のいていく…。もう絶望!
※11月30日現在UKで見つかったOmicron感染者は22人。
これから増えていきませんように…。
※政府は3回目のワクチン接種を来年1月末までに18歳以上の大人全員にオファーすると発表した。
2021年8月~11月:トラベル規制の緩和とワクチンパスポート
トラベル規制の緩和とワクチンパスポート
10月に入るとUKを含めてヨーロッパの国々のワクチン2回目の接種率もかなり上がり、出入国の規制も緩やかになってきた。3回目のブースターの摂取も始まった。
UKが行なっていた赤黄緑のトラベル信号システムも黄色がなくなり、隔離が必要なレッドリスト国か、帰国後PCR検査をして陰性なら隔離不要のグリーンリスト国かの2種類になった。旅行目的のPCR検査は有料で80ポンド近くするのだが、最近ではもっと安くできるLateral Flow Test(迅速テスト)でもよくなって、10月のハーフターム休暇に合わせて簡素化も進んだ。
ヨーロッパのほとんどの国も、出発前のPCR陰性証明とワクチンパスポート(2回の接種を完了してるという情報が入ったQRコード)があれば隔離なしで行き来ができるようになった。
会社ではかれこれ2年近く海外の出張は禁止になっていたのだが、この緩和に合わせて、そろそろどこの国なら行けそうか検討し始めようとミーティングも設けられた。
しかし、私たち海外に住む日本人にとって、心待ちにしているのは、日本入国の規制緩和!
10月には少し緩和されて、日本人は政府指定でのホテルの待機はなしになった。
しかし、ワクチンを2回接種していても皆14日間の待機(入国後10日目に有料のPCR検査を受けて陰性ならば10日で終了できる)をしなくてはならない。
これだけで休暇が終わってしまうし、空港から実家までのCovidタクシーの料金もばかにならない。そして、コロナ前はビザなしで入国できたイギリス人の夫はまだ入国できないし、特段の理由があったとしてもビザを申請しなければならない。
「しばらく家族全員で日本には行けないね…。」と絶望モードになっていた。
「ああ~、早く日本に行って美味しもの食べて温泉につかりたーい!」と最近しびれを切らしてきた私は、「もう親にもしばらくスカイプでしか会ってないから一人で帰っちゃおうかなぁ。一人なら動きやすいし!」と宣言して、家族から「ずるい!」と抗議を受けた。
日本も早くワクチンパスポート制にならないだろうか…。
7月にコロナの規制が緩和された後、この国ではマスクを着用しない人がめだってきた。
最近ではスーパーに行っても半分以上の人はマスクを付けていない。
このようにリラックスしていたせいか、10月になると再びコロナの感染者数が増加し始めた。毎日の感染者数はずっと35,000~40,000人台が続いている。
ワクチンを2回接種済みの同僚もまた感染してしまったりして、危険性を思い知らされることに。
私も先日の週末スーパーに買出しに行った後、思いがけずNHSのTrack&Traceアプリから「陽性反応の出た人と接近がありました」のお知らせPingがきた。
すっかり最近は気を許していたので、はっとさせられた。
幸いPCR検査を受けた結果、陰性だったので隔離しなくてすんだが、まだ気はぬけない!
この感染増加に対抗するかのごとく、3回目のブースター接種を政府は加速していき、11月には40代以上の人なら誰でも予約可能となった。10月に始まった3回目の接種も11月末には人口の25%の人が完了したようだ。
私ももれなく40歳以上なので、先日接種しに行ってきたのだが、オンラインで予約した際、うちから一番近いところは近所の薬局だった。「最近は薬局でもできるのかぁ…。」と感心。
私の1-2回目のワクチンはアストラゼネカだったのだが、なぜか3回目はファイザーだった。別に3回目は違うメーカーのワクチンでも問題はないらしい。
家に帰ってNHSのアプリで確認してみると、この3回目のワクチン接種記録もすでにアップされていて、ワクチンパスポートのQRコードもでてきた。
これを使って旅行に行けるのはいったいいつになるのかな…。
2021年8月~11月:学生寮が不足で大学に通えないかも!?
大学生の下宿も不足気味?
今年の9月も例年と同じく新学期が始まり、大学の新入生が国中で移動した。
新入生の1年間はほぼ大学に併設された学生寮や、大学が管理しているアパートなどが当てがわれる。2年目以降は学生向けに貸し出されている家を3-4人でハウスシェアしたり、一人でアパートを借りれる経済力があれば一人暮らしすることが多い。
我が家の娘はコロナ真っ只中の2020年7月に地元の大学を卒業して、同じ年の9月からマンチェスターの大学で1年修士課程を取る予定だった。
しかし、ロックダウンが始まり、大学はどこもオンライン講義や授業に切り替わっていたため、「これなら大学の施設も使えないし、同じ授業料を払う価値がないわ!」と、1年ギャップイヤーを取っていた。
その1年の間にやりたい事が変わり、結局イングランドの東北部にあるヨークの大学で修士課程を取ることになった。
しかし! 行くと決まったのはいいものの、下宿先が見つからないではないか!
大学の学生寮はもういっぱい、ヨーク市内の手ごろな学生用に貸し出しているシェアハウスもほぼ埋っていた。
ヨークは小さな街なのだが、大学が3つも集まっている。
ただでも競争率が高そうなのに、今年はその他にも理由が..。
それは、娘と同じように昨年ギャップイヤーをとり、1年遅らせて入る人たちがたくさんいること。
もう一つは今年のAレベル(大学に入るための学力試験)の試験結果が過去最高に高く大学に進学する人が増えたことだ。
運よく娘はすでにヨークの大学に在籍していて今年から一緒にハウスシェアする人を探している女の子とSMSで知り合い、何とか住むところが見つかった。
これもコースの始まる1ヶ月前を切っていた。娘の大学からは遠かったが、同じヨーク市内なので何とか通える。
9月に娘の引越しを手伝うため車でヨークまで週末2回にかけて行ったのだが、そこでヨーク市内に下宿がみつからなくて、10-20kmも離れた近郊の街に住むことになった人たちもたくさんいいるという事を知った。
娘はハウスハンティング中「もう住むところが見つからなかったら、またあと1年ギャップイヤーかな..。」と諦めかけていたのだが、何とか住むところが見つかって「ぎりぎりセーフだったね。」と胸を撫で下ろした。
娘の引越しもなんとか新学期が始まるまでに完了し、ほっとしながら夫とヨークの街を散策して帰ってきた。
その昔バイキングがやってきたこの街には有名な大聖堂や、中世の建物がたくさん残っていて、いつも観光客であふれている。
この街で最後の学生生活をエンジョイ欲しい。
2021年8月~11月:相変わらず続く人手不足と物資不足
日常が戻ってきたのはいいけれど..
コロナ対策で導入されていた規制が7月に大幅に緩和されてからといもの、通勤や仕事もだんだん以前のような忙しさに戻ってきて、このブログもしばらく書いていなかった。
その間にもいろんな変化が…!
トラックのドライバー不足と物資不足
7月にPindemicで人手不足が問題になった後、NHSのTrack&Traceのアプリの精度が落とされPingされる人の数が40%近くも減ったり、ワクチンを2回打っている人はPCR検査やLateral Flow Test(迅速テスト)を受けて陰性であれば、隔離しなくてよいこととなったにもかかわらず、人手不足は11月の今でも深刻化している。
これは隔離している人が多いからだけでなく、UKのEU離脱も大きい原因。
ホテルやレストランではBrexitの前まで東ヨーロッパの人たちが出稼ぎで多く働いていたのだが、コロナやBrexitで国に帰った人も多く、経営が困難になってるホテルも多いとか。
農場では収穫期に来ていた出稼ぎの東ヨーロッパの人たちが来れなくなったため、収穫が遅れている農産物も。
最近は豚を屠殺し食肉に処理する人が不足していて、育った豚をさばききれないという問題もニュースに出ていた。育った豚をヨーロッパ内の食肉処理場までトラック輸送し、処理された豚肉をUKに戻さなくてはならなくなるかもと..。(こんな目にあう豚もかわいそう!)
また大型トラックの運転手さんの不足も深刻になってきて、サプライチェーンに大きな影響を与えている。
もうスーパーに買出しに行っても、全ての棚が商品であふれているという光景は見かけなくくなってきた。必ず欲しい物全てが棚に並んでいるという期待をするのもなくなってきた。
ある時は果物のベリー類が全然なかったり、ウール専用の洗濯用洗剤がどこのスーパーにもなかったり、いつも使っている詰め替え用のサランラップがいつの間にか棚から消えていたり…。
8月には農場の人手不足から、チキンや七面鳥などの鶏肉が不足して、KFCやBBQチキンのチェーンレストランが何十軒もの店舗を閉めることになったり、マクドナルドではミルクシェーキがしばらくメニューから消えた。
物流には欠かせない大型トラックの運転手さんの不足はかなり深刻で、政府がヨーロッパからの運転手さんを呼び集めるために緊急のビザを発給するという手段までとり始めた。
Brexit前まではEUに住む人たちはEU内で自由に行き来したり、規制なく働けたので、こんなことをしなくてよかったのに、こんな事態ではBrexitしたメリットがわからなくなってきた。
ガソリンのパニック買い
大型トラックや大型タンカーの運転手さんが不足しているせいで、9月末にはイギリス中でガソリンのパニック買いも起きた。
朝のBBCのニュースで「タンカーのデリバリーが来る頻度が少なくなって、給油ポンプが止まっているガソリンスタンドもでてきている」と報道のあった日の夕方から1週間ほどこの騒動は続いた。
私も漏れなくこの騒動の被害者になった。
毎日長距離通勤しているので、ガソリンは最低でも半タンク入ってないと困るのだが、騒動の始まった日、仕事からの帰り道にあるガソリンスタンドはどこもかしこも長蛇の列、もしくは全てのポンプは空になっていた。
翌朝は4時起きして3軒まわった後、やっと1軒のガソリンスタンドでポンプ2つ分動いているのを発見し、30分ほど並んで給油できたのだか、「お1人様最高20ポンドまで」と張り紙があり、満タンにはできなかった。
その週末は友人夫妻と遠出する予定も入っていたのだが、ガソリンが手に入るがどうかお互い不安だたので、その遠出も中止となった。
近所の大型スーパー、テスコに併設されているガソリンスタンドにも1週間ほど毎日長蛇の列ができていて、周りが交通渋滞になっていたほどだ。
中にはこの長蛇の列に並んでいる間にガス欠になって、車を手で押しながら進んでいる人も!
このガソリンパニック買いが続いた1週間は、親族のグループチャットで、誰かがガソリンのあるスタンドをみつけては情報を交換してなんとか乗り切った。
9月になるとこれらの他にエネルギーや半導体の不足が顕著にいろんなところに現れてきた。
エネルギーが高騰してきたため、UKに3軒ほどあったという大きな家畜用の飼料工場の2つが閉鎖 → そこから副産物としてでていた二酸化炭素が入手困難になる → 二酸化炭素は食品のパッケージに長期保存のために使われているが入手困難でパッケージに注入できなくなる → 生鮮食料品がこれまた品薄に。という意外な悪循環も明るみになった。
「もう普段よく使う肉や野菜は見かけた時に多めに買っておかねば!」
と心がけるようになった。
半導体の不足は世界共通だと思うけど、身近なところでは、車!
私も今年車をリース車に切り替えようと、7月下旬に注文していたのだが、9月中旬まで受け取れなかった。
私の車はオプションなしのスタンダード仕様車なので、これでも割と早かったらしい。
会社の社用車は、4月くらいに注文して10月までかかった。
また私の勤務先では、ある製品をヨーロッパの代理店経由でEU市場に卸しているのだが、東南アジアにある工場では大半の人がコロナで隔離してたり、半導体などの部品が不足していたりで生産が追いついていなく、受注は回復してたくさんあるのに、売る商品が追いつかないという事態に。
エネルギーや石油の高騰で、船やエアー便の輸送費も高騰したため、商品を工場から輸入して販売している私の会社では、売値を引き上げることになった。
ロックダウン中、1リットル1ポンド(約150円)を下回ったガソリンも今では1.45ポンドにも高騰した。45%アップ!
「ああ~、うちに石油貯蓄タンクがあれば、ロックダウン中に貯蓄しておけたのに….。」
とさえ思ってしまった。
会社では同僚たちと「通勤もコストが上がってきたし、物価も上がってきたし、お給料もあがらないかしらね~。」が口癖になってきた。
2021年7月 – その2:Pingdemic (ピンデミック)でイギリスは人手不足!
ピンデミック!(Pingdemic)
7月も半ばになるとデルタ異変種の感染者数とワクチン接種完了者の数が同時に増えていった。ワクチン接種完了者は、7月20日頃までに1回目のワクチンが人口の約70%、2回目が約55%くらいまでになったようだ。
しかし、それとは別に増えていっているものが…!
それはコロナウィルス感染者と濃厚接触してNHSのTrack&Traceアプリから「Self-isolation」(自己隔離)してください、というお知らせを受けた人の数。
自己隔離は10日間と決められていて、このお知らせが届くと同時に「隔離が終わるまであとXX日」というようなカウントダウンがアプリに表示され始める。
(アプリのカウントダウンについて詳しくは「2021年1月-その2」を。→https://elsaleo.hatenablog.com/entry/2021/01/31/000000_1)
私の勤務先でも7月に入ると、このNHSのアプリからお知らせを受けて、隔離のためお休みしている人が増えてきた。
家族の誰かに陽性反応が出た人や、ロックダウンが解除されてきたのも手伝って出かけることが多くなったので、どこかのパブやレストランですれ違った人が陽性だったり、というケースが多い。
会社で「しばらく会ってないなぁ~。ホリデーかしら?」と思っていた人が隔離中、ということも多々。
このアプリから隔離をするようお知らせが来ることを意味する新しい言葉ができた。
それは、「Ping!」。
携帯にメッセージが来る時に鳴る「ピーン!」という音から来ている。
この「Ping」は動詞としても使われていて、例えば「I have been pinged!」
(NHSアプリから隔離するようメッセージがきたよ!) というように使われている。
7月半ばまでに「Ping」された人はイングランドだけでも50万人にも登るとニュースで取り上げられていた。
そして、この「Ping」という言葉とコロナのパンデミックを文字って、「Ping」された人が急上昇してきたこの現象を「Pingdemic」というようになった。
(こんな時になぜか、駄洒落?)
この頃から、あちこちで人手不足がめだってきた。
特に深刻なのは病院。
NHSの医療スタッフの多くは、コロナ陽性反応者と職業柄接することが多いので、明らかに「Ping」された人が多い。
コロナウィルスが蔓延し始めてからNHSはずっと人手不足だというのに、このPingによって多くの医療スタッフが隔離しているため、予定していた手術が以前にも増してもキャンセルされることになったと。
病院以外で問題になっているのはスーパー。
スーパーのスタッフも店内で不特定多数の人と接するためか、多くの人が「Ping」されて人手不足に陥っている。
老舗のマークス&スペンサーでは棚をストックする人が不足してるため、閉店時間を早める店舗もでてきたとニュースにでていた。
私はこのニュースを見て「ふーん、こんなところにも影響がねぇ。」と、結構ひとごとのように捉えていた。
しかしその次の週末、近所の大手スーパー、テスコに食料買出しに行ってみると…。
棚にないものがたくさん!
- バナナは1本も棚にない!
- いつも買う種類のハムもない!(2-3種類くらいしか残っていない)
- 毎週買って我が家にストックするチキンのもも肉もない!
- いつも買う低脂肪の牛ミンチ肉もない!
- 冷凍食品の棚も1部カラっぽ!
- スナックの棚も品薄気味
「これか!ニュースで言っていたことは!」
人手不足がこんな身近なところにも迫っていたとは..。
食料はあっても、それを配達するドライバーや、棚に並べる人が隔離中で、店内まで届くのに遅れがでてるケースが多いらしい。
「食料は十分にあるので、パニック買いをする必要はありません。」と、消費者に向けてスーパーからメッセージも発信されていた。
ロックダウン開始時に起きたことから学んでいるではないか!
スーパーや病院などの大きな組織だけでなく、もっと小さなビジネスでもスタッフが隔離中で仕事が回ってないところがたくさんでてきた。
実は我が家も、今月この人手不足の影響を受けた。
以前から、1階の壁の塗装部分が粉っぽくなって剥がれているところが数箇所でてきたので、業者さんに見にきてもらったところ、防湿材を壁に注入することを勧められた。
この作業に3日ほどかかるのと、作業中は壁を削ったりして粉が舞うので、できればどこかに避難してる方がいいとアドバイスされたので、夫と相談し、この作業中はホリデーを兼ねてレスター市から車で2時間弱ほどの所にあるピーク・ディストリクト国立公園という所にコテージを借りて3泊することにした。
出発の前の日は、作業中に家具などが粉やホコリまみれにならないように、あちこちビニールのシートで覆うという準備をし、出発当日は飼い猫2匹をキャタリーに預けにいった。
「これで準備万端!あとは帰ってきたら、ビニールのカバーを外して、掃除機をかけるくらいで済みそう!」と思い、家の鍵を近所に住む義父に託して出発。
私たちの泊まったコテージ近辺は、電波の繋がりが超悪く、電波の繋がる場所に移動した時に、義父に電話して「ちゃんと業者さんが鍵を朝一に取りにきた?」と、作業開始予定日の午後聞いてみた。
すると「まだ来てないよ!」という返事が…。
夫が今度は業者さんに電話してみたところ、「申し訳ないのですが、今日からお宅で作業する予定になっていたスタッフがコロナに感染したため、行けなくなりました。
他のスタッフも隔離中の者がいて、手が空いてる作業員がいないので延期させてください。」と言うではないか!!
何でも業者さんから夫の携帯に朝いちで連絡を入れようとしてくれてたらしいのだが、電波が通じなかったので連絡できなかったらしい。
「こんなシチュエーションでは電波の繋がるところにホリデーに行くんだった!」と後悔…。
とにかく来れなくなったと聞いて私は、
「ええ~!せっかくこの作業日程に合わせてコテージも借りて、猫も預けたというのに!?」と叫んでしまった。
この作業予定にに合わせて念入りな計画をたてたけれど、こればかりは、誰も責めることはできない。
「壁のことはあきらめて、せっかく来たからホリデーを楽しもう!」ということになった。
このように、スタッフが隔離中のため業務が滞ってたり人手不足になっているという話を頻繁に耳にするようになった。
恐らく、迅速テストやPCR検査が頻繁に行われているのも、このPingされる人の増加に貢献していると思う。
大量のテストキットが簡単に手に入るようになったおかげで、コロナウィルスの感染者が多く検出されるのはいいとして、ロックダウンの規制が緩和された後、多くの人が他の人と接触する機会も増えた。
幸いワクチンの接種完了者が増えたので、症状が出てる人や重病になる人は少なくなったものの、感染者と接触したため隔離は今まで通りしなくてはならない。
ということで、最近は「ワクチンの接種が完了してれば、感染者と濃厚接触しても隔離をしなくてもいいのでは?」という意見もでてきた。
ロックダウンの規制がなくなったと思いきや、今度は隔離ブームで人手不足になろうとは!
私の当面の心配は「バナナとチキンのもも肉はいつ棚に置いてくれるの~?」だ。
追記:
7月下旬には、社会を回すために必要な業種に携わる人たちは「Ping」されてもワクチンを2回接種していれば隔離をしなくてよいことになった。
その中の例としては、食料供給に携わる人、医療関係者、交通機関、製造業、エネルギーや水道関係、緊急サービス等が含まれる。
2021年7月 – その1:ロックダウン規制全面解除 – パティシエやマッチョな人はどこに?
デルタ異変種類が急上昇中にコロナ規制が全面解除へ
3月から始まった4段階からなるロックダウン規制解除プランの最終段階は6月21日の予定だったのだが、デルタ異変種が蔓延してきたため、7月19日に延期されていた。
しかし、7月に入ってもコロナの感染者数の数は下降するどころか、どんどん急上昇…。
1月にピークだった時以来の高い感染者数を記録していった。
最終規制解除では、若者たちが濃厚接触しやすいナイトクラブやダンスクラブ、それにフェスティバルなどのイベントも解禁になるので、「本当にこんな状況の中、本当規制を全面解除しちゃっていいのかしらね?」などと言いながら会社の同僚たちとまた心配していた。
特に学童児を持つ同僚は、「これでまた感染する子供が増えて、いつ学級閉鎖になるかハラハラしながら暮らさないといけなくなるわ。今でも数クラスがすでに閉鎖になってるというのに!」と不安を隠せない。
こんな心配とは裏腹に予定通り7月19日からイングランドでは規制の全面解除が決行された。
日付が19日に変わる夜中の12時に、ロンドンのダンスクラブではパーティーが繰り広げられ、入り口まで超長蛇の列ができている模様がニュースにでていた。
まるで平常時の大晦日パーティーのよう!
しかもまだワクチンも打ってなさそうな年代の若者たちが大勢…。
「本当に皆大丈夫なのかしら…?」とその映像を見ているだけで心配になってきた。
今回の最終規制解除では...
- マスクの着用が義務ではなくなり、個人の自由に。
しかし、ロンドンの公共の交通機関では着用が必要。(スコットランドでも)
- 今まで閉鎖していた残りの産業やサービスが再開。
(音楽フェスティバル、イベント、ナイトクラブ、など)
- 結婚式やお葬式に参加する人の人数制限の排除。
- レストラン、スポーツジム等の公共の場所に入る際のQRコードのスキャンは不要。コンタクト先を記録するかどうかは事業主に任せる。
- ケアホームでは訪問客数の制限が解除に。
しかし、予め指定された訪問客のみ訪問が可能。訪問する前に迅速テストを行い陰
性であること。
- 学校でのスクールバブル・システムは8月6日より廃止
- ワクチン接種が2回完了している人は、グリーンとアンバー(黄色)の渡航先から帰国した際は隔離不要。(やった、日本もアンバー国!)
などなど。
要はこれからは、政府が規制しない代わりに個人の判断に任せるということだろうか。
しかし規制が全面解除された7月半ばには、イギリスの1日のコロナウィルス感染者数は5万人に達したと発表され、個人的には「まだまだ油断はできん!」と気を引き締めた。
また、「グリーンとアンバーのカテゴリーに入っている国から帰ってきた際は隔離不要」と発表があった後、アンバー国のフランスが突然「隔離要」になってしまい、安心してフランスにホリデーに行ってしまった人たちから不平・苦情がでていた。
まったく規制緩和になったといっても安心はしていられない!
解除があった日にスーパーに買い物に行ってみると、大多数の人たちはまだちゃんとマスク着用していた。
コロナ前の時代ではマスクを着用する習慣のなかったイギリス人。
「規制が解除された途端にまた以前のようにマスクなしの生活に戻る人が多いのかな?」
と思っていたけれど、大多数の人たちはまだマスクを着用していて、用心深いようで安心した。
大手のスーパーでは「マスクの着用は個人のチョイスです」と言いながらも、「安全のため、なるべく店内ではマスクを着用してください。」というポスターがでていた。
規制が緩和されて、マスク着用は義務ではなくなったので、「お願い」というスタイルに変わったようだ。
ロックダウン解除のニュースを聞きながら、私はふとロックダウンが始まった頃を思い出していた。
去年の3月にUKの全国ロックダウンが始まって、この全面解除に至るまでかれこれ16 か月。この 16 ヶ月の間にこのイギリスでもマスクの着用が当たり前のこととなったり、リモートワークが日常になったりと、いろんな変化があった。
ロックダウン初期の頃、一時は小麦粉やドライイーストがスーパーの棚から消えたり、エキササイズ用のウェイトやヨガマットが売り切れになったりしていて、お菓子やパンを焼く人や、家の中でフィットネスをする人も増加した。
「ロックダウンが終わった頃には、きっとこの国はパティシエやマッチョな人で溢れてるのでは...?」と思っていたのに16カ月後の今、私の周りでは誰一人としてこんな人はいない!!
マッチョどころか、ロックダウン太りになったというケースの方が…。
そう言えば、新しい言語を学ぶ人が急増したというニュースもあったような気がしたが、多言語をペラペラしゃべれるようになった人も見受けられない。
何を隠そう、私もロックダウン中は 韓ドラにはまっていたので、夫がクリスマスプレゼントの1 つとして韓国語の学習キットを買ってくれたのだが、まだ箱に入ったまま開封されていない。 (ごめんなさい!)
この規制だらけの16ヶ月、何かいつもと違うことにチャレンジしようと思う機会があっただけでもいいとしよう。
規制が解除されたおかげで、今まで閉鎖していたビジネスが再開されるのは喜ばしいのだが、通勤時の渋滞だけは戻らないで欲しい!