ロックダウン8週目(5月11日~5月17日頃) ― ロックダウン部分解除 & ユーロビジョンソングコンテスト
ロックダウン解除のプラン発表
この週の月曜日(11日)のデイリーアップデートでボリス首相から今後のロックダウン解除に向けてのプランが発表さると2-3日前からニュースにでていたので、早速放映される予定の午後7時に夫と一緒にテレビの前に座った。
仕事をしていた時は、毎晩シリーズ物のドラマを1-2本一緒に見るのが夫と一緒に過ごす唯一の時間だったが、最近はこれに首相が行うコロナのデイリーアップデートが加わった。
ドラマシリーズはだいたい10話以内で最終回がやってくるが、「このコロナのアップデートはいつ最終回がやってくるのか? もそろそろクライマックスになって欲しい」と願っていたところだ。
この夜の首相の発表によると、ついに死亡者数と入院者数がピークを過ぎて下降に向かってきているとの事で、以下の条件を満たしていることを条件にこれから徐々にロックダウンを解除していく予定らしい。
- UK全体で十分な緊急医療の対応力があること
- 死亡者数が継続的に一貫して下降していること
- 感染率が減少していること
- テストとPPEの需要が満たされていること
- ロックダウンを緩めることにより第2波を引き起こしNHSの機能を脅かさないこと
「COVIDアラート・システム」という名の5段階のレベル分けシステムも導入されたとのことで、このレベルが下がっていけばいくほどロックダウンが広域に渡って解除できるというプランだそうだ。
レベル5: レベル4と同様 & 医療サービスが崩壊する恐れがある
レベル4: COVID-19エピデミックが蔓延し、伝染率が高く指数関数的に危険
がある。
レベル3: COVID-19エピデミックが蔓延している
レベル2: COVID-19がUK内に存在しているが感染したケースと伝染率は低い
レベル1: COVID-19はUK内にもう存在しない
現時点ではまだレベル4でRナンバーも1を少しだけ下回ってるだけなので、残念ながらロックダウンを終了する段階ではないとも…。
その代わり解除の第1段階としてロックダウンのルールが少し緩和されることになった。
緩和の第1段階
- 在宅で働くことが不可能な人(建設現場で働く人など)は仕事に戻ってOKだがなるべく公共の交通機関は避けて通勤すること。また仕事場ではソーシャルディスタンスを守ること。
- 今まで「1日1回」の屋外でのアクティビティーが許されていたが、これが「無制限」に変更。同じ家に同居する人たちと一緒に1日何回でも日光浴や外でのスポーツができる。
「この2点はあまり私たちには影響ないね…。」
と夫とつぶやいた。
二人とも在宅勤務可能だし、外で運動するのも、もう若くはないので1日何回もするわけではない。
1日何十回も運動できたとしても今度は心臓発作の方が心配なお年頃だ。
ということで、今までと同じ生活が続きそうだ。
緩和の第2段階
2番目のステップとして、Rナンバーが下がっていけばノン・エッセンシャルなお店(食料品と生活用品以外の物を売るお店)と学校を開ける予定らしい。
学校はレセプションクラス(4-5歳児)、1年生(5-6歳)、と6年生(10-11歳)を最初に開ける。(これはアセスメントが行われる学年のため)
ノン・エッセンシャルなお店で私が思いつくのはファッションやインテリア、ホビー関係のお店だ。
しかし、通勤もしなければ、レストランも開いてないので友達と食事にもいけないし、おしゃれする必要がない。と言うことでファッション関係のショッピングは別に今すぐ
しなくても支障はない。
お店に行かなくてもオンラインでオーダーすれば宅配で家まで届けてもらえるので、逆にこっちの方が便利! 試し着ができなのが難点だが、いつも買うお店のオンラインショップならだいたいサイズがわかってるのであまり外れることはない。
また学校については、開いたとしてもすぐに学校に行かせる、行かせないの判断は親に任せるようだ。レセプションクラスに在籍する子供を持つ夫の姪っ子は、「どうせすぐに夏休みにはいるので、もし学校が今開いたとしても新学期の9月になるまで待つわ。」と言っていた。
第2段階の緩和も私たちの生活にあまり大きな変化はなさそうだ。
だが、ヘアーサロンもこの段階に入っていますように、と期待したい!
緩和の第3段階
そして最後のステップでやっとレストランやパブのようなホスピタリティーのお店を開ける予定らしい。
これはおそらく多くの人達が望んでいるステップに違いない。
私も最後に友達と食事に行ったのはいつだったかな、と振り返ってみた。
確か3月の最初の週末に新しく開店したばかりのタイレストランで私の好物、パットタイヌードルを食べたのが最後だったような…。
なんだかとても遠く昔の出来事のように感じる。
開店してすぐにロックダウンになってしまったけれど、あのお店はまた再開してくれるだろうか。どうかつぶれていませんように…。
大きなスポーツのイベントがある日は多くの人たちがライブの放映が見れるパブに集まっていたのも遥か昔のようだ。
第3段階でこのような外食やパブで盛り上がれる日がくるのが近い将来であることを願いたい反面、感染を警戒して以前のように人でごった返したパブにはもう戻れないのではないかとも思う。
スローガンの変更
このロックダウン部分解除の発表のあった日から今まで政府がアピールしていたスローガン「Stay at home, Protect NHS, Save lives」が新しいものに代わった。
↓
「Stay alert, Control virus, Save lives」
家には篭らなくていいけど警戒を怠らないように、ということだろうか。
スローガンが変わっただけでなく、少しずつでもコロナの状況がよくなってきているようでよかった。
ガーデンセンター&ホームセンター再開!
また今週の水曜日(13日)からは屋外で営業するお店や施設が再開できることになった。
屋外で営業するお店は主にガーデンセンターや、ガーデンセンターが併設されているホームセンターだ。
朝のニュースではすでにガーデンセンターが開く前にお店の前に列をなしている人たちが映っていた。年齢層はやはり庭いじりに時間をかけられる引退した高齢の人達が多いように見受けられた。
この国には庭や植物の手入れに命を賭けている人がたくさんいる。
「Britain in Bloom」といって、村や町などの団体が応募し、どの地域がいちばんきれいなお花を咲かせているかと競う会う大会もあるほどだ。
この大会はかなりレベルが高く、RHS(Royal Horticultural Society = 王立園芸協会)
から審査員が参加した町や村々を訪れ、咲き乱れた花や植物を見て回り審査される。
このようなハイレベルのものもあれば、自分の庭をプロ並みに手入れしている人たちもたくさんいる。
このように園芸に力をいれている人たちは、夏に花を咲かせるべくこの季節には種を植えたり、苗を植え替えたりと準備する事がいっぱいあるはず。
ガーデンセンターがこのタイミングで開くのを心待ちにしている人達が殺到したのも納得!
ホームセンターにも長蛇の列ができている様子が夕方のニュースにでていた。
家に篭っている間、多くの人が家の改装を行っているようだ。
壁のペンキを塗り替えるような小さなことから、DIYのスキルのある人はバスルームやキッチンのユニットを新しくしたりと大きな改装まで、色んなレベルのDIYに日ごろからこの国の人たちは熱心だ。ファーロウになって時間がある今のうちに家の改装でもしようかと思っている人たちがたくさんいるに違いない。
このホームセンターに列を成している人々を見ていると「うちもこのロックダウン中どこか改装した方がいいかしら~」と思ってきた。
ガーデンセンターやホームセンターの他には、屋外でできるスポーツ施設(テニスコートやゴルフ場)も再開できることになった。
これはゴルフ好きな私の夫が待ち望んでいたニュースだ。
早速ゴルフ友達に「いつから行こうか~?」と連絡を入れていた。
やっぱりスペイン行きは延期に…
今年の初めに予約していたスペイン行きのホリデー。
イギリスがどん底に暗かった時期に「青い海と青い空」を見るのを楽しみに予約していたが、月日が流れるごとにホリデーに行ける可能性が低くなっていくばかりだった。
友人夫婦と私たち夫婦の4人での、初めての子供抜きの親だけのホリデーなので、夫2人はゴルフ、私と友人の奥さん組はスパーでリラックスする予定もたてていた。
家族旅行だといつも家族のやりたい事、行きたい所、食べたい物を優先に行動していたが、今回は「自分へのご褒美にゆっくりリラックスさせてもらおうっと!」とウキウキして心待ちにしていた。 しかしコロナの状況が悪くなると共に、飛行機は飛ばなくなり、ヨーロッパの国々もロックダウンに入っていったので、友人と「もうこのホリデーはないね…」と諦め始めていた。
予想通り今週、予約していた航空会社から「6月のフライトはキャンセルになりました。」との連絡が来た。
「やっぱりねー。」と夫と一緒に納得した。
もう今の情勢ではほとんど無理だろうと諦めていたので、落胆と言うよりは「これではっきりわかってよかった。計画の仕切り直しができるわ。」とこの先のことを考えようとの思いに変わった。
航空会社からは返金されることになったが、フライトとは別に予約していたホテルは払い戻し不可のかわりに日にちは変更可能だったので、とりあえず9月に変更してもらった。
ビデオコールで友人夫婦とホリデー会議をしていた私たちは「9月にはこのパンデミック終わってるよね…?」とお互いの顔を見合いながら自分たちに言い聞かせるようにつぶやいていた。
次の日のニュースでは「スペインが7月から国境をオープンすることになった」とでていた。しかし…
これはヨーロッパのシェンゲン国のみが対象でUKは対象外だと。
どうか9月にはUKの国民もスペインに入国できますように!
♪♪ユーロビジョン・ソング・コンテスト♪♪
私が26年前にイギリスに来てからというもの毎年見ている歌のコンテスト番組「ユーロビジョン・ソング・コンテスト」!
この番組はヨーロッパの国々で、それぞれの国の中で選抜された歌手がその国の代表として出場し、歌を歌って競い合うという番組で1年に1回、毎年この時期にヨーロッパ内でライブで放映される。
1956年から始まって、最初は主に西ヨーロッパ諸国の国々が中心に行われていた。
あの70年代に活躍したスウェーデンのABBAも1974年のユーロビジョンで優勝してから一躍有名になったそうだ。
私がイギリスに来た90年代には約25-30ヶ国くらいの国が出場していた。
最近になって東ヨーロッパの国々が次から次に参加するようになって40ヶ国以上の国で競い合うようになった。なぜかここ2年くらいはぜんぜんヨーロッパに近くないオーストラリアまで参加している。
2時間の枠では全員歌いきれなくなってきたので、最近はTVでは放映されないが、予選が2回行われるようにまでなった。
はっきり言って25年ほど毎年見ていたこの番組で、印象に残っている歌手や歌はあまりない。 覚えているのは1997年に優勝したUK代表のKatarina & the Wavesというグループが歌った「Love shine the light」という歌くらいだ。
どうしてこの歌だけ覚えているかというと、この23年前に歌われた曲が最後にUK代表が優勝した歌だから!
歌手で印象に残っているのは2014年に優勝したオーストリアのConchita Wurstという名のドラッグクィーンの人だ。スラリとしてスタイルよく、化粧もきれいなのだが、濃いひげが口の周りとあごに生えていて、そのコントラストが強烈だった。
この人がどんな歌を歌ったかはよく覚えていないが、この強烈な印象だけは残っている。
歌はさておき、このコンテストで何が一番おもしろいかと言うと、全員が歌い終わった後に行われる投票のシーンだ。
各国の中で投票が行われ、その結果を各国のプレゼンターがそれぞれの国から中継で発表する。最近は自国での審査員の投票に加えて視聴者が携帯で投票することもできるようになった。
結果はポイント制ででてくるのだが、1~12のポイントをどこの国に配分するかと言う方法で発表される。自国へは投票できないことになっている。
たとえば、「1 point goes to France, 2 points goes to Russia…………., Finally 12 points goes to Sweden!」
というようにプレゼンターが発表するのだが、なぜか皆最後の12ポイントがどの国に与えられるかと言う時にやたらともったいぶって「12 points goes to…」の後に10秒ほど間をおいてじらすのである。
「またぁ~、早く言ってよ!」と全視聴者が叫んでいるのが想像できる。
その年のユーロビジョンの大会で優勝した国が翌年のホスト国となり、参加者のパフォーマンスはそのホスト国の会場で行われる。
その会場にいるプレゼンター(普通男女のペアが司会)が各国から中継での投票発表が英語で行われたあと、フランス語でも繰り返し行う。
そして、ポイントが発表されるごとに、TVの画面では各国の順位テーブルがめまぐるしく上下に動いていく様子が映る、といった具合だ。
90年代まではUK代表はかなりいい線を行っていて、ポイントももらえていたのだが、東ヨーロッパの国々が参加し始めてからというもの惨めにも最下位をいったりきたり…。
東ヨーロッパの国々は近隣諸国同士で投票し合う傾向があるのだ。
例えば、ボスニアが高い点数を与える国はチェコ、スロバキア、スロベニアっといった国々で、ラトビアが高い点数を与えるのは、リトアニア、エストニア、べラルースといった具合に。
隣国のない島国のUKに投票してくれるのは、アイルランドくらいで、しかも3点ほど。
2003年にはどこの国からも投票してもらえず総合点数が前代未聞の0点だった。
最終得点の発表の際、司会者がフランス語で「United Kingdom – nul points!」と言ったのが今でもUK国民の脳裏に焼きついている。
毎年ユーロビジョンコンテストが始まる前になると「またUKはノル・ポア(0ポイント)かなぁ~。」と皆あまり自信のないコメントをしまくっている。
「どうせ勝てないからもう見るのやめようかな。」と言いつつ「ひょっとしたら今年は…。」とかすかな期待を捨てられずに見てしまうのである。
こんなに最下位をさまよっているのに、なぜUKが予選なしで最終段階に毎回出てこれるかというと、このコンテストの開催に金銭的に大きく貢献してる5ヶ国の1つだからである。UK、ドイツ、フランス、スペイン、イタリアは「Big 5」と言われ、ラッキーなことにこの5ヶ国は予選なしで自動的に最終段階に進めることになっている。
予選落ちする心配がないだけでも救いだ…。
今年のユーロビジョンコンテストは昨年の優勝国であるオランダで5月16日に行われる予定だった。しかし3月には会場に予定されていたRotterdam Ahoyという展示会場がロンドンのExCel会場と同じく、コロナ患者のための野戦病院として使われることになったので、3月の時点で今年のユーロビジョンコンテストの中止が決まっていた。
ユーロビジョンが中止になったのは64年前に始まって以来初めてのことらしい。
その代わり、この日はTVで参加予定者全員がビデオで歌を披露したり(投票はなしで)過去の優勝者のビデオを流したりしていた。
この大会が始まった頃の1950年代のパフォーマンスもでてきて、今のようなきらびやかなイベント会場とは全く違うBBCのシンプルなスタジオでマイク片手に歌っている歌手が白黒で映っていた。
最後には各国の今年の代表者たちが、1997年のUKの優勝曲「Love shine a light」をリレーで歌っているビデオが流れた。
今年はあの投票シーンが見れなかったのが残念だったが、0ポイントに落胆しなくよかったし、久しぶりにUKの優勝曲も聞けて、それなりによかった。
天気のいい週末
この週末はお天気がよくなり、ロックダウンが部分解除され外出が自由になったこともあってUK各地のビーチやピーク・ディストリクトのような国立公園では人であふれている様子がニュースにでていた。
「やっぱりずっと家に篭ってたら開放感のあるところに行きたくなるよねぇ。」
と夫とうなずきながら見ていたが、ニュースではコロナ感染の第2波が来るのではと懸念の声も上がっていた。
お天気もよくなってきたのもあって、我が家でも「今年はホリデーにも行けなくなった代わりに庭を何とかしよう」という話がで始めた。
前々から「デッキつくりたいね」と言っていたので、見積もりでもとってみようかと言うことになり、大工をしている夫の甥(といっても31歳)にこの週末来てもらった。
どこにデッキを作りたいかを伝えると早速設置位置の寸法を測って、だいたいのコストを教えてくれた。
家族割引をしてくれたおかげで思ったより手ごろな値段でできそうだったので、お願いすることになったのだが、やはりこのロックダウン中、同じことを考えている人がたくさんいるようで甥のスケジュールはびっちり詰まっているようだった。
それでも何とか6月の中旬までには来てもらえることになった。
デッキを作ると決まったら、ちょっとワクワクしてきた。
「出来上がったら、庭用のソファーセットが欲しいな」とか
「デッキの頭上にフェアリーライトをぶら下げたいな」とか
「モロッコ風のデコレーションを置こうかな」等と妄想をめぐらせながらインターネットで買いたいものをブラウジングし始めた。
「やっぱりプロジェクトがあると、単純な毎日にワクワク感が芽生えていいことだわ!」
デッキが出来上がるのが今から待ち遠しい…。
この週UKのコロナによる死亡者数の合計は32065人⇒34636人*に。
(*coronavirus.data.gov.ukより)