9月 – その2 規制だらけのUKとNHS COVID-19アプリ
UKは規制だらけ!
9月に入って、やっと私の住むレスター市のローカルロックダウンが緩和されてきたと思いきや、今度は他の多くの地域でコロナウィルスの感染率が上昇中という悪いニュースが毎日のように流れ始めてきた。
海外では、ハンガリーやポルトガルもUKの自主隔離対象国に加えられた。
ポルトガルにはイギリス人に人気のビーチリゾート地がたくさんある。
「スペインやフランスはもう危なそうだから、まだ自主隔離対象国になってないポルトガルにホリデーの行き先を変更しようかしら~。」と言ってる同僚もいたが、この計画もあっと言う間に泡のように消えてしまった…。
「もう今年は計画してたホリデー全て全滅!」
「自主隔離しなくていいように、せめて国内のどこかにしようかな。」
「山や湖なら人が密集してなさそうだから山のあるウェールズやスコットランドかなぁ、やっぱり!」
などと、ランチタイムに同僚たちと話していた。
ところが!
国内では9月になった途端ウェールズ地方で感染率がかなり上昇しているとニュースで流れ始めた。中旬にはウェールズの数都市がローカルロックダウンになり、26日(土)からはカーディフやスワンジーなどウェールズの主要都市もロックダウンになってしまった。
ウェールズのロックダウン規制は基本的に
- 規制地域からの出入り禁止(通勤、通学、食料の買出しはOK)
- 人と合う時は屋外で。
等だが、なぜかパブやレストランは営業が許されている。その代わり、
- アルコールを提供するのは夜10時までで、11時までに閉店すること。
ということで、規制のかかった地域に住んでいる人たちが唯一お出掛けできるところは、食料調達以外では地元のパブ(!)ということだろうか…。
またイングランドでは特に北部のマンチェスター、リーズ、リバプール、ニュー・キャッスル、ヨークシャーで感染率が上昇してきて、ローカルロックダウンが懸念され始めた。
そして9月11日には、中西部のイングランド第2の大都市、バーミンガムとその近郊にあるソリハル(Solihull)という街が、ローカルロックダウンに入ると発表があった。
このウェストミッドランドの規制の要点は、
- 屋内や個人の庭で、他の世帯の人と会ったり集まったりすることは禁止
というものだ。
特にこの地域では、個人の家でよその世帯の人たちと集まることが、コロナウィルスが拡散する大きな原因みられているようだ。
ウェストミッドランドもレスター市と同じく、インド系の人たちが多く住んでいて、文化的によく親族の集まりが個人の家で行われているので、この影響もあるのかも..、とふと思った。
かくいう私の通う職場もこのウェストミッドランドの片隅にあるので、「あ~、だんだん迫ってきたねぇ~。」と同僚たちと心配し始めた。
Rule of 6 (6人のルール)
このようにUKのあちこちで感染率が上昇し始めた9月。
Rナンバーも「1」を越して「1.2~1.5」にまで上昇してきたらしい。
(この数値は感染率をコントロールできているかという目安を表す数値で、1以下だと感染率が抑えられていることになるらしい)
これを抑えるために政府が新しいルールを打ち出した。
それは「Rule of six」なるもので、主な内容は、
- 9月14日からは屋内、屋外を問わず6人以上で集まることは禁止
- これは個人の家、公園、パブやレストランも含む
- COVID-19対策がされているスポーツジムや信仰の場、レストラン等では6人以上入れてもOK
- このルールに違反した場合は1回目は100ポンドの罰金が、そして2回目以降は毎回倍額になり、最高3,200ポンドの罰金が科せられる
というもの。
私の住むレスター市は長らくローカルロックダウンが続いていてこのような規制がかかったままなので、あまり変化は感じられないけれど、このルールがイングランド全域に適用されることによって少しでも感染率が下がることを期待したい。
しかし、UKのあちこちでローカルロックダウンになったり、その地域によって様々な規制が掛かり始めて、もう私たち一般市民は何が一番新しいルールなのかわからないくらい混乱してきた。
会社でも「個人の家では集まれないけど、庭ならよかったんだっけ?」と同僚と確認し合ったり、友人夫婦と食事に行く計画を立ててる時も、「4人だから問題ないよね?」
「あ、でもよその世帯の人と一緒に外食はOKだった?」
などと、みないまいちハッキリわかっていないのが現状…。
このように混乱し始めたころ、9月22日にまたボリス首相から更に新しい規制が10月1日からイングランド全域に渡って適用されるという発表があった。
1ヶ月前までは、1日の感染者数が平均1000人くらいだったのに対し、9月はその約4倍の4,000人近くにまで急上昇しているのを踏まえて、この新しいルールが適用されることになったと…。
また今回は20-29歳の若者たちの感染者数が急速に増加中で、これがお年寄りに拡散することが懸念されているようだ。
今回の新しい規制とは…
- 前回のロックダウンと同じく、可能であれば自宅勤務(テレワーク)を再びすること。
- 9月24日(木)からはパブ、レストラン、バーではテーブルサービスのみ。
(カウンターでの注文は禁止)そして夜10時には閉店すること。
デリバリーサービスは今まで通り10時以降も行なってOK。
- マスク着用はリテール業界のスタッフの他、ホスピタリティー業界全員にも義務付け。
- マスク着用に違反した場合の1回目の罰金が100ポンドから200ポンドに引き上げ。
- 結婚式に参加できる人数が30人から15人に。
- お葬式は30人まで参加OKのまま
- 屋内スポーツのチームにも「Rue of 6」が適用される
- スポーツスタジアム再開の予定は当面キャンセル
- 警察を増員して街のパトロールにあたる。
新しく発表されたルールに、またもや混乱…。
次から次にルールが変わったり追加されるので、今現在の規制が何なのかわからなくなってきそうだ。
とにかく、どこに行くにもマスク、パブではテーブルに座って全てを注文、夜遅く出かけることはもうないので、10時以降にパブが閉まることは気にしなくてOK、と覚えておけばいいや!と心の中で確認した。
この中で唯一気になるのは結婚式…。
来年の3月に夫の甥っ子の結婚式に招待されていたことを思い出した。
2019年の秋にすでに招待状をもらっていて、「まだまだ先だわ~」と忘れかけていたけれど、今となっては年が明けるとすぐではないか!
今年の年明けには皆で、「結婚式、今年の3月じゃなくてよかったね~」と言い合っていた。「2021年の3月にはさすがにコロナも収まってるよね~。」とも…。
しかし10月になっても結婚式に参加できる人数が15人に制限されているとなると、雲行きが怪しい。久しぶりのお祝い事で、親族全員が楽しみにしているので、「来年の3月に何とか全員で参加できますように~!」と祈るばかりだ。
それともう1つ気になるのは、在宅勤務をできるだけするように、というところ。
8月にやっと仕事に復帰して、やっと通常が戻ってきたと思ってきたところだったのにまた自宅待機になるのだろうか?
会社からまた何かお知らせがあるのを待つとしよう…。
NHS COVID-19アプリ
UK内の規制がどんどん増えていく中、9月24日にはNHS(National Health Service)のCOVID-19アプリがリリースされたと発表があり、このアプリが適用されるイングランドとウェールズの国民に「COVID-19アプリをダウンロードしましょう」とメディアで呼びかけていた。
このアプリの3つの主な機能は..
- Track & Trace(トラック&トレース)
コロナウィルステストが陽性と出た他のアプリユーザーと、過去に接近した経歴があると警告メッセージが送られてくる。
- Alert (警告)
アプリユーザーの住んでいる地域がウィルス感染のハイ・リスクになった場合、どのようなアクションをとればよいかというアドバイスと共に警告メッセージが送られてくる。
また現ロケーションの地域にはどのような制限がかかっているかの情報もでてくる。
- Venue Check-in (QRコードにてお店やレストラン、等にチェックインできる)
お店やレストランに入る際、このアプリに内臓されているQRコードスキャナーでお店のQRコードをスキャンできる。
これによりコンタクト先を毎回お店に記入して提出する手間が省ける。
私も早速自分の携帯にアプリをダウンロードしてみた。
翌週末、友人とランチに出かけた際、レストランもカフェも入り口にQRコードが貼られていて、「先ずはこのQRコードをスキャンしてください。」と店員さんに言われた。
「おお~、早速このアプリの出番!」
私はCOVID-19アプリの「Venue Check-in」を押してQRコードスキャナーを画面に出し、お店のQRコードをスキャンしてみた。
携帯の画面には、お店の名前と日時と共に「You have successfully checked in」(チェックインに成功しました)というメッセージがでてきた。
「以前みたいに、いちいち名前と連絡先の携帯番号を記入しなくてよくなって便利だね~。」と友人と感心しながら席についた。
このQRコードはレストランやカフェだけでなく、ショッピングセンターや、スポーツジム等、人が集まるところにはどこにでも見かけるようになった。
近所のマクドナルドには、各テーブルの間に仕切りができていて、その仕切り1つ1つにもQRコードが貼られていた。
便利な反面、なんだかどこに居るのか逐一誰かに見られてるような感じがする。
個人のプライバシーは堅く守られていて、「アプリユーザーが誰なのか、どこに居たか」は誰にも知られないようになっているらしいのだか、この「見られてる感」はなぜか否めない…。
「きっとこのコロナが蔓延してからというもの、密会する人たちは減ったに違いないね。」
「それとスパイ活動も!」
などと友人と話しながらランチをした。