ロックダウン1週目(3月23日~3月29日頃) – その3:暗いニュース

 

展示会場が野戦病院に

この週、保健相のマット・ハンコック氏からロンドンの東部にある大展示会場ExCeL London(エクセルロンドン)をコロナ対策の1つとして臨時病院に改装するという発表があった。最高で4000台の病床を入れられるキャパがあり、4月初旬にはオープンできるよう工事を始めるとのことだった。

この展示会場は日本でいうなら東京ビッグサイトみたいなところだ。

ニュースに映っていただだっ広い会場をみて、「こんな大きなスペースが病床に?」

「しかも2週間あまりで?」

本当にできるのかしら?と疑ってしまった。

会社の近くの幹線道路の道路工事にも3年半かかるこの国で?

疑いと同時に「こんな大きなスペースを病床にするほど、コロナ感染者が増加することを政府は予測してるのかしら?」と不安な気持ちになった。

工事には軍隊も投入されるとのことで、軍服をきた兵士の人たちが設備の据付をし始めた様子もTVに映っていた。その画像を見ていて、なんだか戦場に野戦病院を作ってるような感じがした。

「どうかこの病院がコロナ患者であふれることがありませんように!」とニュースをみながら祈るばかりだった。

 

知り合いの死

またこの週は悲しいお知らせが届いた。

それは義妹のだんなさんの親族であり、カトリック教会の牧師さんでもある知人がコロナで亡くなったというお知らせだった。

義妹のだんなさんの家系はアイルランド系で、敬虔なカトリック信者たちだ。

この牧師さんが働いてた教会で義妹のだんなさんのお母さんも秘書兼お世話係りとして働いていた。義妹宅で家族のお誕生パーティーなどがあって親族で集まる時は、必ずこの牧師さんも来ていた。牧師さんだけあって人当たりもよく、私にも日本についていろんなことを聞いてくれたりして、会話をしてくれた。

2月に90歳になったばかりで、義妹の家族はパーティーから帰ってきて「90歳とは思えないくらい元気でパーティー楽しんでたわ」と言っていた。

だのに、突然コロナに感染したと聞きびっくりした。

入院した後4日後に亡くなった。

せっかく90歳まで元気にしてたのに、コロナであっけなく…。

信者の人達だけでなく、教会のある地域の人たちからも親しまれていたので、この牧師さんの死はBBCのローカルニュースにも出ていた。

ニュースを聞いて悲しい気持ちになったと同時に、義妹のだんなさんのお母さんの事が皆心配だった。

この牧師さんとずっと一緒に働いていたので、ひょっとして感染してるのではないかと。

牧師さんが感染していることがわかってからは自己隔離をしていたが、幸い14日たっても症状がでなかったので皆でほっと胸を撫で下ろした。

たくさんの人たちから慕われていた牧師さん、本来なら多くの人がお葬式に参加したかったはずだ。 しかし、このコロナのソーシャルディスタンス対策で、葬儀場では最大10人までしか中に入れないとの事だった。

いままで何十年と牧師さんをしていて、何百件ものお葬式や結婚式を司ってきたというのに、本人のお葬式には人数制限がかかってしまうなんて、なんだか悲しくなってしまった。

参加できない人たちのために葬儀の様子がビデオリンクで見れることになったのが救いだった。

 

首相と保健相も感染!

この週のもうひとつのショックなニュースは、何と言ってもこのコロナ対策のリーダーシップをとっている保健相のハンコック氏と首相のボリス氏の二人がコロナに感染したというニュースだ。

「ええ~!首相までも??」とみなでビックリした。

しかし政治家とういう仕事がら、四六時中いろんな人と会っては握手をするだろうから、感染する確率は高そうだ…。

首相がビデオで「自己隔離してるけど、ビデオでメッセージを送ります」と言っているのを見て「まだしゃべれるなら軽症なのかも!」と少し安心した。

しかしコロナがもう政治家にまで広まってきたとは...。

リーダーシップを必要とされているこんな時に、どうか大事にいたりませんように!

とこのコロナが上陸して以来祈りたいことばかりだ。

 

東京オリンピック延期のニュース

やっとこの週東京オリンピックが延期になるというニュースが流れてきた。

ここ2-3週間でコロナの感染者数がヨーロッパで急激に増加していた中、私の周りでは「こんな状況で阿部総理はまだオリンピックを決行するの?」とみな疑問に思っていた。

先日政府から届いた手紙にも「We know things will get worse before they get better(事態はよくなる前に悪くなります)」とあった。

これから事態が悪くなるばかりなのに、もしオリンピックが決行されても選手の人たちはろくにトレーニングもできないし、飛行機での移動も無理だ。

せっかく大金を投資し準備してきたのは理解できるが、オリンピックに参加しない一般人の私たちですら、「決行はありえない...!」と思うほどUKのコロナの状況は悪くなる一方だった。

延期のニュースが流れてきて、みな「そうだよねぇ、よかった!」と安堵した。

 

この週UKのコロナによる死亡者数は359人⇒1669人*と1週間で1310人も増えた。

(*coronavirus.data.gov.ukより)