2021年6月:デルタ異変種の感染急上昇で最終規制緩和が延期に / ユーロ2020で盛り上がる!
デルタ異変種の感染急上昇で最終規制緩和が延期に…
5月から急速にコロナウィルスのワクチン接種が進んで、6月1日にはニュースで「1日のコロナによる死亡者数が、ロックダウン開始以来始めてゼロを記録した。」
と報道され、「ついに、この規制ばかりの生活をしていた甲斐が!」と喜ばしく思った。
と思いきや…!
UK国内ではこの頃からデルタ異変種が猛威をふるい始めた。
6月に入って感染した人の大多数はこのデルタ異変種だとか。
うわさ通りの強い感染力のせいか、1日の感染者数も6月の第2週目には約8千件にも達するようになって、21日に予定されていた「最終段階の規制緩和―ステップ4」は本当に実現するのか?と皆疑問に思いはじめた。
このデルタ異変種が影を落とす中、イギリスの南西部の海辺にあるコーンウォールでは6月11日からG7も開かれ、日本の菅総理を含め各国の首相もUKを訪れた。
2年ぶりに実際に顔を合わせる会談も実現したことだし、イギリスの規制緩和もひょっとして..?と少し期待していたのだが、6月14日の政府の発表で、最終規制緩和は7月19日に延期になったとアナウンスがあった。
やはり、この異変種の感染が急上昇しているためらしい。
また規制緩和を遅らせてる間に2回目のワクチン接種者を増やすというのも狙いらしい。
7月19日までに40代までの人たちの2回目のワクチン接種を完了させるのが目標で、これが達成できれば国民の2/3の大人が2回のワクチン接種を受けたことになると。
またこの頃からデルタ異変種多発地帯以外でも、18歳以上の大人ならだれでもワクチンを受けられるようになり、まだ受けてない人はすぐにNHSにコンタクトするよう促す広告や宣伝が目に付き始めた。
ワクチン接種が急ピッチで進んでいるのがわかった。
私の勤め先でも20代の若いスタッフを含め、社員全員のワクチン接種が終わったせいか、なんとなくリラックスモードになってきた。
21日からの国の規制緩和は延期になったものの、会社では「社内でのマスク着用は必須ではなくなるので個人の判断にまかせます」というお知らせがHRから来た。
社外の人と会う時はもちろんマスク着用だが、いつも一緒にいる同僚たちと社内で接する時は大多数の人たちはマスクを着用しなくなってきた。
日本人の私としてはちょっと不安..。
しかし、もうここまでリラックスしてきたら、私としては「別に最終規制緩和はそんなに急がなくてもいいんじゃない?」とすら思えてきた。
ナイトライフが楽しい年頃の若い世代の人たちは今回の規制緩和の延期で落胆してる人が多いかもしれないが、私個人的には今のままで全然困らない!
一時の規制だらけの生活に比べたら、スポーツジムにも行けるし、スーパーも並ばなくで済むようになったし、パブやレストラン、それにヘアサロンも多少の規制はあるものの再開してくれたので…。
最終規制緩和(ステップ4)で緩和される予定だった内容は主に…
- 公共の場でのマスク着用の義務の廃止 (今の状況ならマスク着用の方が安心!)
- ナイトクラブやダンスクラブの営業の再開
(もう踊りに行く歳でもないので影響なし!)
- パブではカウンターバーにて飲み物を買って、立ち飲みができる。
(今までのように座ってテーブルでサービスを受ける方が楽でいい)
- ソーシャル・ディスタンス・ルールの廃止
(スポーツジムや映画館は混まなくて今のままでいい!でも、大勢で集まれるイベントができないのが残念…。)
6月が終わる頃にはデルタ異変種の感染者が学校でも増え始め、イギリスの1日の感染者数は18000人以上にも増加した。
「こんなに急上昇してるのに、本当に7月に規制が完全解除されるのぉ~?」と同僚たちと疑い始めた。
せっかく今月の初めまではいいニュースが流れていたと思ったのに…。
ユーロ2020のフットボール大会で盛り上がる!
コーンウォールでG7が行われていた頃、UKを含めたヨーロッパではユーロ2020のフットボール大会が始まった。
去年行われる予定だったのだが、この大会ももれなくコロナでキャンセルになったので、2021年に行われても名前は「ユーロ2020」のままで行われた。
これはヨーロッパ内での予選を通過した24カ国が、第一段階のグループ戦を行った後、勝ち抜き戦で進んで行くトーナメント。
オリンピックと同じく4年に1回行われる。
今回はどこの国もまだコロナの規制がかかっているのもあって、選手たちがあまり移動ばかりしなくていいように、会場はヨーロッパ内の数箇所*、そして出場する国の人たちに近い場所で行われるよう取り図られていた。
(*オランダ、ルーマニア、イタリア、アゼルバイジャン、ハンガリー、デンマーク、ドイツ、UK)
また会場のある国のコロナ対策に合わせて、観客の有無も違っていた。
UKは連合王国(Great Britain)としてではなく、この大会ではスコットランド、ウェールズ、イングランドに分かれて出場している。
スコットランドが予選通過したのは今回初めてなので、スコットランドではとても盛り上がっている様子がテレビに映っていた。
ヨーロッパではワールドカップに次いで国対抗で行われる大きな大会だと言えるのだが、イングランドが最後に大きな試合で優勝したのは、1966年のワールドカップ…。
かれこれ55年も前!
毎回大きな大会が開かれる度に国を挙げて盛り上がるのだが、多くの人は応援しながらも、「またきっと優勝できないよ…」と心の底であまり期待しなようにしている事に気づいた。
これはきっと負けたときの落胆度を減らすためと、予想外に勝った時の喜びを倍増させるためかも?
とにかく、6月に入ってデルタ異変種の感染者数が急上昇して、規制緩和が延期になった中、このフットボール大会のおかげで国民の多くはコロナから気をそらすことができた。
家々の窓や、街のあちこちにイングランドの旗がなびき、スーパーではフットボールをTVで鑑賞する時のためのスナックやアルコール類、それに旗やイングランドのTシャツ等が並ぶ売り場ができた。
この大会で一番みなが心配していた試合はグループ戦を通過したあとの対ドイツ戦。
というのも、ドイツには負けてばかりなので、イングランドにとっては宿敵。
この試合が始まる前、ほとんどの人は勝って欲しいと願いながらも、「またきっと勝てないよ…。」精神でいた。
ところが!なんとこのドイツ戦に2-0で勝ってしまい、イングランドファンの喜びは倍増! 宿敵に勝ったので、盛り上がりに火がついてしまった。
多くの人が優勝は心の中であきらめていたのに、「よっしゃ!この調子なら優勝できるかも!」という期待が膨らんできた。
中には「ドイツに勝ったなら、あとはどうでもいい!」という人もいたけれど。
このドイツ戦に勝って波に乗ったイングランドは久々に決勝戦へ進んだ。
準決勝と、決勝戦の会場はどちらも地元イングランドのウェンブリー・スタジアムで行われたのでより期待度と盛り上がり度が増した。
私の知り合いはこの決勝戦のチケットをゲットしていたのだが、イングランドが決勝戦に進んだことで、このチケットの需要が急上昇し、75ポンドで買ったチケットを「7000ポンドで買わせてくれないか」というオファーが来たらしい。
「もちろん売らないよ!」と彼は言っていた。
中には20000ポンド(約300万円)で決勝戦のチケットを売ったというケースも!
(本当は転売禁止のはずなのだが..)
結局、対イタリアとの決勝戦は延長戦とPKの長いゲームの後、イングランドは負けてしまった…。PKを外した選手に人種差別するようなコメントをソーシャルメディアにアップする心ない人たちがいるほど落胆度は大きかった。
決勝戦に勝てなかったのは残念だったが、5月の規制緩和のおかげで、今回は義妹家族や、サポートバブルの義母と集まって我が家でフットボール鑑賞ができた。
皆で集まってスポーツ鑑賞できるのは久しぶり!
去年の今ごろは「こんなことがまたできる日はいつ来るのだろうか..」と思っていたので、皆と集まって応援できただけでも「平常にもどった感」を感じることができてよかった。
しかし、ウェンブリー・スタジアムで6万人の観客動員して決勝戦があった後、またもやコロナの感染者数が急増したというニュースが…。
私の知り合いの22歳の息子さんも、この決勝戦を泊りがけで見にいっていたのだが、帰ってきて、コロナの陽性反応がでた。
スタジアムだけでなく、試合前後のパブやホテルでもかなりの人たちが集まって盛り上げっていたので、「どこで感染したかははっきりわからない..」と言っていた。
「1~2万ポンドも払ってチケットを転売してもらった人たちは、大丈夫だったのだろうか?」とふと思ってしまった。